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何という行き方!のCATHATのレビュー・感想・評価

何という行き方!(1964年製作の映画)
4.0
当初はマリリン・モンロー主演が予定されていたものの、その謎の死によって主役が交代。相当なプレッシャーがあったろうに、新世代の顔=シャーリー・マクレーンが、フレッシュにキュートに、悲しくも可笑しいヒロインを演じきっていて気持ち良い。

『ニュー・シネマ・パラダイス』といった映画のための映画、では無いものの、ヒロインが“かつてのオトコたち”を回想するときの演出が、実に映画愛に溢れていて、映画ファンとしては最高のひとこと。チャップリンを模すヴァン・ダイクに、「いるよね、こういううるさい顔(褒めてる)のミュージカル俳優」というようなマクレーンとジーン・ケリーのオーバーアクト。
毎度オチは分かっているのに、どのシーンも完璧にイカれていて美しい。もちろんマリリン主演でも大当たりは間違いナシだっただろうけれど、マクレーンが文句なしに💯を出している作品。特にケリーとのダンスシーンはマクレーンのダンススキルが合ったからこそのクオリティであることは間違いない。

DVD特典(といってもこれだけ)のオリジナル予告では、マクレーンと錚々たる男優のメンツを紹介した後、ナレーターが「イーディス・ヘッドによる衣裳」とわざわざ紹介する。後にも先にも、イーディスほど才能に溢れて、そしてタイミング(時代)に恵まれたクリエイターは珍しいだろう。富豪の妻となったマクレーンが纏う『金に糸目無し』の衣裳群は言わずもがな、喪服から普段着に至るまでセンスの塊。特にブラウンの使い方は、神がかっている。シンプルなのに驚くほどエレガントで美しい。

クラシック映画がクラシックになり始めた頃の当代の空気も垣間見えるというか、それでいて且つ、まだまだクラシック時代に引けを取らぬ大スターがご健在だった時代でもあるから、1960sのハリウッド映画を観ると、燃え尽きる寸前の輝かしさが透けていて眩しい。
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