原題『cannibal ferox』
英題『Make them die slowly』なんて素敵な題名
1984年製作、イタリアのカニバル映画の巨匠の一人、ウンベルト・レンツィの代表作を再見。
「食人族なんていない、それは文明至上主義の差別の産物である」という論文を完成させるために、アマゾン川奥地を訪れたグロリアと弟のルディ、友達のパットの学生3人。
密林で迷っている時にであったマイクとジョーの二人は、人喰族に襲われたと語る。
迷ったあげく、その村にたどり着いてしまった彼らだが、マイクが言うのと違い、老人と子供ばかりの彼らは襲ってこない。むしろ怯えている。
実はマイクは、自らの欲のために彼らにエメラルドを探させ、なかなか見つからないとなると案内した男を張り付けにし、目玉をえぐるなどの虐待をし、殺していたのだ…
そして、村に若者が戻った時、彼らの復讐が始まる‼と言う話。
そうだ、忘れてた…
巨大いもむし、むしゃむしゃシーンがあるんだった… 私、ほんとにいもむし、ほんとに本気でまじで苦手なので、これを食べる現地の人の口元のアップだけで、気持ち悪くなる… てか、薄目にしてあんまり見てない… 血みどろ映画、大好きなのに、虫は無理…
そして、アナコンダに噛まれ締め付けられる小動物。
豹に食べられる猿。
頭や体を切られてもバタバタもがき続ける亀… この亀のシーンは、特に衝撃的なんです……
原題の如く、ゆっくり、ゆっくりと…
長く映し出されるそれの描写は、非常に生々しく、まさしく弱肉強食の世界で、この映画の根本を現しているのだと思います。
もちろん、嫌悪感はすごく感じます。でも、これが世の常なのです。生態系の実態なのです。
そして、1時間経過したところで、やっと食人シーンが始まります‼
それまで、文明人の汚さに嫌悪感を持ちながら見ていたんだけど、ここでやっとその鬱憤がはらせるのです!
はらわたデロ~ン‼
男性の大事なところバッサン‼
おてて切り株切断からの、
上頭部切断設備での頭スッパンスライス‼‼
その設備ね、板が丸く切り抜かれ、そこに上頭部のみがでてきて固定される簡単な仕組みとなっております♪人喰族の皆様は、日曜大工もお手の物!
もっちろん食べます♪
大事な所もパクッ、腸もむしゃむしゃ、脳ミソ踊り食い。つまみみたいにして食べる!
あと、有名な乳房フック吊り下げ… 痛そうですねぇw でも、そうでもないよ。後ろで支えられてるの、わかるから(笑)
で、真面目に考えると、白人至上主義による人種差別の因果応報的な話であり、郷に入っては郷に従えというものであります。
それはどんなカニバル映画にも言えるのかもしれないけど。
あ~、違うな。どんなでもない。異常快楽としてのカニバリズムと、土着の風習的カニバリズムは違うもの。
まぁ、いいや。すごく長くなるから。
結局のところ、差別主義者は食べられしまえ映画です。
当時、31の国で上演禁止となりましたとさ。
ちなみに、当時のイタリア映画界ではアメリカへの憧れがあったらしく、NYロケシーンが無駄に長かったりします。 マイクの素性とか、明かされます。
ラストでのグロリアの論文発表シーンもNY。さて、グロリアはどんな論文を仕上げたのでしょうか。
また、レンツィ監督とライバル状態にあったのは、ルッジェロ・デオダート監督です。『食人族』がフェイクドキュメンタリータッチだったのに対して、こちらは普通の映画です。
イタリアカニバルだと、ヤコペッティもモンド映画の元祖として有名だけど、レンツィの『怪奇!魔境の裸族』(73年)がエンターテイメント的カニバルホラーの元祖と言われています。