まごー

リラの門のまごーのレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
3.8
トーキー最初期(というか本当に最初)のフランス映画史上の最重要人物ルネ・クレールの晩年の作品。

巴里祭(1932)とか巴里の屋根の下(1930)とかは世界的に評価されて、
パリという都市の一般的なイメージを完全に決定づけたという意味で、いまの僕らにとっても影響の大きい監督。
トーキー最初のフランス映画の監督とはいえ、音楽の使い方とかがとっても凝っててうまかったし、音をあえて聞かせないということも効果的におこなっていた革新的な監督だった。

晩年のこの作品でも歌が随所で効果的に使われている。
舞台はパリの外側に存在するリラ。

パリって昔は城壁に囲まれてたんだけど、
第一次世界大戦後あたりからその城壁の周辺に徐々に巨大な貧困街のようなものが形成されていって、
やがて城壁が壊されて、時代の流れと共に、貧困街も姿を消したんだけど、
それでも、あのあたりいったいには、
貧困街のイメージというか記憶というか神話というのがフランス人に強く印象づけられてたみたい。

このリラの門のリラがそういう場所なのか、門が城壁の門なのかわからないけど、
この作品によく使われる"下町"っていうのはそういうイメージも含まれてるのかなって思った。(なんかのサイトに『リラの門』は環状地帯っていうその当時の貧困街を描いた小説を参考に街並みが再現されてるみたいなのを書いてるのを見たのであながち間違ってないかも)

主人公は下町のどうしようもない飲んだくれで
、友人の芸術家と仲良く生活していたが、ある日突然、彼の家に殺人を犯し逃走中の男が駆け込んでくる。お人好しの主人公は彼をかくまうことにするが、それをきっかけに彼の生活は代わっていくのだった。
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