この映画で注目は何といっても藤岡琢也。勝新たちと湯船ではしゃぐところなんて本筋に関係ないし誰が喜ぶのか謎なカットながらもキュートで最高! 飄々とした受け応えはもうそれだけで面白いし、今まで注目していなくてゴメンなさい。
盗った金を良心の呵責から返そうとする人情コメディタッチから物語は始まって、終いには雨の中のクールな殴り込みチャンバラに展開する、すでに映画衰退期ながらも、さすがの娯楽作! イントロのミニエピソードみたいなのが少々モタついた感じで不安になったけど。
勝新が話す悲しい身の上話がまんま観て来た映画通りでそれが即バレするとか、怪我したところに千円札を貼れよとヤクザに迫るなどのベタなギャグもハマっていた。
通して勝新のアドリブではないかと思われる台詞が多く、その軽い感じが良かった。それによって行き当たりバッタリな感じがして嫌いだという人もいると思いますが。
道化だけど人情深くシャイな感じの、勝新が好んでよく演じるキャラが今まで苦手だったけど、本作で克服したかも。というか好きになりました。