ニューヨーク・マガジンに勤める野心的な雑誌記者で、名門プリンストン大教授で小説家でもある父を尊敬する一方で家庭的な専業主婦の母とは反りが合わないエレン・グルデン。そんな母が末期癌に蝕まれていることが分かって父の頼みで介護を担う彼女が、母と向き合うことで気付く様々な事柄と二人の最期の決断を描いたドラマ映画です。
ピューリッツァー賞を受賞した元コラムニストで現在は小説家として活躍するアンナ・クィンドレンが上梓した半自伝的小説を俳優を兼任するカール・フランクリンの監督で映画化した作品で、メリル・ストリープにレネー・ゼルウィガーそしてウィリアム・ハートという三人のオスカー俳優が織成す家族物語が観客から共感と賞賛を得ました。
末期癌におけるターミナルケアと切っても切り離せない「尊厳死」という古今東西で広く扱われながら普遍には至らない難しい問題を、20世紀末らしい「女性の社会進出前後の価値観の対立」を絡めて綴ります。やや後者のための過度な作劇を感じる所はありますが、ストリープの素晴らしい熱演で原作にあった母への想いを表現する一作です。