マーフィー怒りの鑑賞

死の標的のマーフィー怒りの鑑賞のレビュー・感想・評価

死の標的(1990年製作の映画)
3.4
ロシアのウクライナ侵攻後、ヘビロテしていたセガール映画を自粛気味だったテレ東だが、侵攻から2年近く経った2024年1月21日、深夜にひっそりと久しぶりの「死の標的」放映。吹き替えはテレ朝版なので、当然セガール役は大塚明夫。

セガールの吹き替えと言えば大塚明夫で、2000年代以降は専属声優としてソフト版の吹き替えは必ず彼。しかし80年代と90年代の作品のソフト版では、大塚氏以外が務めている事がある。個人的にセガール映画で傑作なのは、今作を含む初期4作品だと思う。しかし、その4作品のソフト版では、悉く大塚明夫以外の声優が担当。なので配信やお店でレンタルしても、大塚氏のイケボ・セガールが拝めず、「これじゃないよ」感を抱えながら鑑賞する事になる。シュワとセガールの映画は、声優が優秀過ぎて、玄田&大塚以外の吹き替えでは見る事ができない特殊なものだ。絶対必須の調味料の如く。(シュワの「ツインズ」ソフト版も玄田版ではないので注意が必要)

今作品と「アウト・フォー・ジャスティス」の録画を、「また1年も経てば放映するだろう」と、HDDの容量不足からやむなく消していた。高をくくっていたら、ウクライナ侵攻で親ロシア派のセガール映画が、放映自粛になってしまい、もうテレ東で大塚版セガールを見れないと思っていたので、今回の放映はありがたかった。

内容のほうは普通に面白いアクション映画という感じ。中盤のカーチェイス・シーンからブティックでの大乱闘の迫力は、セガール映画や他のアクションものと比べても優秀だと思う。セガールの初期4作品は、CGに頼らない生のアクションが迫力ある。そこに他のアクションものでは見られない、セガールの日本武術を駆使した殺陣が組み合わさる事で、独自の格好良さを醸し出しているのが魅力。

ジャマイカでのロケ・シーンがある映画は珍しいのではないか?市場でのシーンはゲリラ撮影っぽいが、どうなのだろうか?

セガールと言えば無敵、無双のイメージがあるが、今作では殺されそうになる場面が複数ある。これも初期作品の特徴。4作目の「アウト・フォー・ジャスティス」は無双してたと思うが、初期3作品は死の寸前まで行く。スタローンのように割と人間臭く、緊張感を増させる要素になっている。

「ゼイリブ」で印象に残る、共演のキース・デイビッドが大活躍。しかし高校のアメフト・コーチなのに、銃を片手にジャマイカまでギャング殲滅に遠征って、どんなコーチなんだよ(笑)教師や警官まで副業に励むアメリカらしい設定と言えるかもしれない(笑)

ロシア工作員のセクハラ・パワハラ野郎と分かっていても、若い頃の作品は面白いし、スリムでカメラ映えするので、アクション・スターとしては魅力的だったと思う。