屋上に公園があるラブホテルを営むオーナーと、そこを訪れる女性たちの奇妙で温かな交流を描く女性達の群像劇
バックパックを背負い、髪を銀色に染めた少女はポラロイドカメラで目につくものを撮影しながら街を彷徨う
16年間ウォーキングし続け道中のラブホテルオーナー艶子に挨拶するだけの女は一念発起ラブホテルを手伝うことをにする
ラブホテルの常連の美人研究員の女は行為に至った男の精子をひたすら採取する
家出少女の美香、主婦の月、常連客のマリカ。それぞれが心に痛みを抱えてこのホテルにやって来る
古びたラブホテルの屋上に小さな公園があり、そこにやってくる人々の物語。ラブホテルってとても興味深い世界で入る目的は明らかにセックスなんだけど、そこには色んな人間模様がある。でもまさかそんなしがらみが希薄な老人や子供達の憩いの場が屋上に同居するのはおもしろい。
屋上なんて何もないと思っている空間。でも実は屋上は社会から一番近いファンタジーの世界なのかもしれない。更に円山町や歌舞伎町などの都会のど真ん中では癒しの空間などないし
都会の歪んだ隙間に落ちた人間が都会の隙間にひっそり佇んだ公園で人間を再生していく物語は切り口は良いかも
無愛想なオーナー時間を共にしていくうちに、自身を再生していく。ほかの女性を救う艶子が一番胸の内に苦しみを潜ませ感情を爆発させることもなく迷い込んだ女性たちを救う。その痛みや苦しみがリアルに観客に伝わる。
“都会に疲れた女性のための応援歌”のような映画
監督の熊坂さんは女性を掴むのがとてもうまい監督に見える
今は独りよがりの演出も目立って荒削りだけど大化けする可能性を凄く感じる作品でした
2007年 第58回ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞