君にジュースを買ってあげたい

パラノイドパークの君にジュースを買ってあげたいのレビュー・感想・評価

パラノイドパーク(2007年製作の映画)
4.2
ガス・ヴァンサント作品に顕著なヌルッとしたスロー再生やドリーショットがかなり印象的に繰り返されていたり、
喧嘩の会話をオフにすることで何を言っても彼の耳には入ってこないということが連想されたり、
加えてファッションポートレイトのような自由なライティングやカメラ。
と終始画に飽きることはない。

オリジナル予告篇を見て思ったが、正直あの予告から連想するような作品ではない。あれを見たあとの想像で本編を見てしまったら、期待はずれと思われても仕方がない。
だが、そうではない。
良さを人に伝えるのが難しい作品だから、この宣伝しづらい作品をどう宣伝しようかと考えられた結果こうなってしまっただけだと思う

ごく普通の日常を少し退屈そうに過ごしている彼に与えられた刺激は想像していたものと大きく違った。
彼は事件を境に心ここに在らずなようだが、だからと言って特に何かに目覚めたわけではないしそもそも割と冷めている子のようだから、描かれている物事自体は本当にただの日常だ。
そんな何でもないことをここまで見ていたい作品にできるのが、ガス・ヴァンサントがガス・ヴァンサントたる所以だろう。