映画おじいさん

こつまなんきんの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

こつまなんきん(1960年製作の映画)
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原作者が同じ『河内カルメン』と似ているなと誰もが思うはずだけど、こっちがずっと先だとは。向こうも傑作だけど、野川由美子よりもずーっと薄幸そうな嵯峨美智子が主演のこちらの方に今の気分なら軍配。

さっそく藤山寛美にレイプされる嵯峨美智子。やはりこの時代もレイプが軽い。。

インチキ新興宗教の女教祖になるものの真面目に滝打ちの修行をやっているのはメチャクチャ偉い。本当にダメなのはアチャコ&藤山寛美親子。

アチャコがその儲けた金で調子に乗って株を買ったあげく破産。ここでも妻の浪花千栄子がそのことで発狂して家に火をつけてからの入水という一連のシーンが凄まじい。心臓に毛が生えていそうな浪花千栄子が発狂。。

新聞沙汰で教祖から露店の易者になったけど、証券屋の愛人になって持ち直した嵯峨美智子。しかし、なりたい自分になれたものの、孤独ゆえに幸福になれていない。

バチが当たったのか麻痺が残る病気をしてしまったアチャコにはダメ人間でも包んでくれる乙羽信子がいた。
ボンボンだった藤山寛美は落ちぶれて貧乏長屋暮しながらも優しい妻と可愛い子供に囲まれている。
そんな彼らを立て続けに見てしまった嵯峨美智子の憐れさに泣ける。

なのに!なのに嵯峨美智子が貴方たちが羨ましいと自ら言って泣き出すのはちょっと描き過ぎで興醒め。どんな鈍感な観客だって、そんなことぐらい分かるのに。

スキャンダル女王になって寄席で漫談コンビを組んでしまうのはケッサクだった。

内容とは関係なく今回の上映ではプリントが甚だしく赤焼けしていて、大阪の夜景とかが勿体なかった。始めの方の歯ブラシ工場でのキャットファイトのアングルや、和室でのバストアップショットなど地味に画も凝っていたような感じもしたので是非ニュープリントで観直したい裏クラシック。続編もあるらしいので二本立てで!