映画おじいさん

悲しき瞳の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

悲しき瞳(1953年製作の映画)
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善意からとは言え、小学生たちがコツコツ貯めた修学旅行積立金を先生(日守新一)が横領してしまうというヒドいスタートで、ノレないどころか始めっからイライラしてしまった。そして日守新一のモッチャリした演技が火に油を注ぐ…。

日守の娘(美空ひばり)を助けてやろうと賽銭ドロして捕まった少年に、日守が自分のことを棚に上げて「今の世の中、悪事をせずに生きていくのは難しいけど…」と偉そうに諭すと少年は泣き出す。
そこで少年の叔母(望月優子!)が「何やら上手いこと言って(少年を)泣かさないでよ!」と怒鳴るのは天晴れだった。育児放棄なヒドい保護者だけど、こればっかりは正しい。

努力して「どんな善意の動機でも犯罪は犯罪、やってはならないということを描く映画」として観ようとしたけど、どう考えても横領した先生は間違っていなかったとしか描いていない。ヒドい映画だ。子供騙しだ。
現在なら逆に先生を騙した孤独なおじさん(元教え子)に同情してしまう人の方が多いのでは。