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機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKYのohshimaのレビュー・感想・評価

4.0
オルフェンズしかり、戦争の地獄を積極的に描こうとするのが近年のガンダムのトレンドなのかもしれないです。聖人君子然とした主人公は作り手側も食傷気味なのかしらん。という訳でガンダムお約束のイデオロギーやコミュニケーション論もどきは完全にどっかに飛ばされて、ひたすら殺すか殺されるかの地獄です。戦争映画お約束、みたいなのを意識的に繰り返しつつ、手描きのデカいロボットがガツンガツンぶつかり合うのは完全に快楽そのものでした。もちろん罪悪感とセットです。
で、やっぱり目玉の一つが菊地成孔の音楽なんですが、これだけコンパクトにまとまったスタンダードなジャズって実はキャリアの中で結構珍しいんじゃないでしょうか?そして、大西順子のピアノが本当に素晴らしい。フリーキーなソロでも透明感や瑞瑞さが失われず、全曲八面六臂です。ジオン側のポップソングも本当に贅沢で正直初見の段階では既存のオールディーズのリアレンジだと思い込んでました。
ただ音楽が素晴らしいからこそ気になったのがその貼り方で、「その時登場人物が聞いてる音楽がそのまま流れる」っていうコンセプトを厳密に遂行して欲しかった。正直後半に行くほど散漫な印象が残りました。あとラストのdcprgは全然合わなかったです。残念〜
でも歴代ガンダムの中では一番好きです。ここまでフェティッシュなガンダム他にないですから。

余談なんですが主人公の幼なじみのメカニック、原作では明らかに同性愛者として描かれてましたがアニメではその辺は完全にオミットされてますね。まあデリケートな問題ですけど、なんでですかね〜なんか勿体無い気がしました。
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