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愛と憎しみの伝説のmaruseiのレビュー・感想・評価

愛と憎しみの伝説(1981年製作の映画)
4.1
女優ジョーン・クロフォードの華やかさの裏の壮絶な生活。
愛する者が欲しいという気持ちと話題性を狙って養子として迎えられた娘クリスティーナの視点で内容が進んでいく。

女優として寝るときは顔にたるみ防止のバンドのようなものをしていたり、肉の焼き加減など食生活にも徹底して気を配り常にたゆまぬ努力をしてる母親ジョーン。
そして同時に年を重ねた自分の女優生命に不安と恐れを背負っているために、些細な事でヒステリーを起こしてしまう。
そのはけ口として娘のクリスティーナは幼い頃からことごとく犠牲になっていく。
娘に対するやり過ぎのお仕置きは今で言う虐待に当たり、私的にはこれが凄く痛々しくて、ここ最近にしては珍しく画面から全く視線をそらせなかったほどだ。

虚栄に満ちた女優である自分の真の気持ちを幼い子供達にこれでもかというくらい、わかって!と時間も無関係にヒステリーに当り散らしてしまうジョーンのその形相が怖すぎる!
特に顔パック中に突如豹変してヒステリーを起こす母親に幼い娘のクリスティーナが泣きながら叫んだ「一体何がいけないの?」には本当に胸が張り裂けそうになった。
親も子もひたすら愛情を求めてるのにひたすらそれが噛み合わない。

だけどある意味これは現代社会においても珍しくない光景なのではないかと思う。
度々報道される親子関係のトラブルによる事件、そして何よりここまで凄惨ではないにしろ子育ての不安や疲れから苛立ち、弱い立場の子供にしかそのはけ口を見つけられない母親達…それは決して私の周りにもいないわけではない。

女優としての母親ジョーンの生き様にも焦点が当てられているが、なにより娘クリスティーナの心の状態や成長過程での影響具合に注目せざるを得ない。

観る人によってはヒステリーおばさんの虐待物語にしか見えないだろうが、自分には凄くリアルで胸が締め付けられ、考えさせられた作品だった。

しばらく引きずりそう〜〜。
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