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ザ・インベーダーのmohedshotのレビュー・感想・評価

ザ・インベーダー(2011年製作の映画)
3.5
 怨念と股間のイチモツひとつで絶望をタフに突破し、フランス女のところに転がり込んでアッパーに食い込みやがった、絶倫アフリカン野郎の一人称的視点による、絶望と欲望と暴力と差別の都市ノアール。何故か状況の進展がとんとん拍子なのが解せないが、未来の野望とセックスへの強欲さをたぎらせた、目の奥がギラギラした不法移民の有色人種の男を漁るのが趣味の有閑マダム、というまあ大方そんなものが、どこの国にも存在するのだろう。

そんなエロスの充足に時間と金を割けるセクシーマダムと、黒光りする屈強な体のみが資本である不法移民の男とが、互いに合致する、というよりは、男は女を既成のクラスから半ば強奪し、女はクラスからの逸脱という軽薄なスリルを叶えたということか。とにかく激しい欲望による社会的状況の突破というテーマは、格差と不公平、差別、過酷な人権状況という負の要素が世に存在する限り、永久普遍なのだろうし、そこに激しい生存の意思の物語が存在する余地があるのは、古くからである。

だが、不法移民の男の一人称の視点を生かして、階級格差と暴力とセックスへ欲望を主軸に、日々の生活のストーリーをさらに深めて欲しかったところ。不法移民に失礼だが、奴の強靭なパワーには嫉妬しました。
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