二兵

雷魚の二兵のレビュー・感想・評価

雷魚(1989年製作の映画)
3.5
四谷アウトブレイクの配信上映にて、監督の解説付きで鑑賞。

『雷魚』と名のつく作品は幾つかあるけれど、これは知る人ぞ知る平野勝之監督最後の8ミリ映画作品。自主映画出身で、AV界でいろいろ衝撃的すぎる作品を撮った平野監督、この後AVへ行くことに…。

アイドル(南野陽子)オタクの主人公が拾った雷魚と一人の女性。共同生活を続けるうちに、雷魚が大きくなるのに併せて、彼はだんだん狂っていく…という筋書き。

監督の『人間らっこ対かっぱ』『愛の街角2丁目3番地』『雷魚』すべてに共通するのが水のモチーフ。下水道、川、小学校のプール。前2作では登場人物が持つ強靭な生命力のメタファーとして機能しているが、今作では寧ろもっとドロドロとした、悪意のようなものを感じさせる。

そして相変わらずストーリーは破綻してるけれど、抒情的な絵作りが上手い。しかし全体の雰囲気はダーク。

あと、役者さんに対してドSなのもこの頃から笑。
特に女優さんは坊主頭、シャワーシーンで全裸、レイプシーン有りとかなり身体を張らされている。この後の作風の片鱗が既に…。

この後ももっと自主映画を撮って欲しかったが、AVの方で、決して"実用的"ではないが(笑)ドキュメンタリーとして観ると実に面白い作品を監督はたくさん撮っているので、そっちを追いかけたい。
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