フク

しびれくらげのフクのレビュー・感想・評価

しびれくらげ(1970年製作の映画)
3.5
大映軟体動物シリーズという良い意味でどうかしている大映による素晴らし過ぎるシリーズの第2作。
いそぎんちゃく、くらげ、など、本体は海底に張り付いていたり波間を漂っているだけだが、派手な見た目で周辺の魚や小動物を惹きつけ、近寄って来たところを軟体の脚で絡みとったり、毒や電気で痺れさせたり実は恐ろしい生き物であるこれら軟体生物を、本シリーズの主人公•渥美マリに重ね合わせたエロチック作品。
決して美人顔とは言えないが派手な顔立ちの渥美マリは適役と言え、彼女が周囲に擦り寄ってくる男たちをくらげの毒のごとく痺れさせ軒並み不幸のどん底へ落とし去っていく。
渥美マリの演技や台詞回し、人物の関係性などに明らかな増村保造の演出の嗜好が反映されており、後の大映ドラマとほぼ同じではないかと言っても良いぐらいである。
最早黄金時代は過ぎ去った大映において若尾文子主演作品など撮ることも叶わなくなったとしても変わることのない増村保造の作家性に触れられることの喜びは何物にも変えがたいのだという事実に感動。
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