もう一回見てから書くつもりだったけど、幾度となく押し寄せる書きたい衝動に負けて書く
映画に触れるなかで「ああ、これは僕のためにあった一本だな」って思える作品に巡り会うことがある。この「けむりの街の」もその一本だ
なんと言っても「けむりの街」を「a fake town」って英訳している辺り、解っていらっしゃる
私事ではあるが
僕が生まれ育った町は、常に戦闘機のジェット音がこだまし、気づけば隣町との境界でもある河川から霧が流れ込む、そんな町だった。隣人の声はかき消され、右も左も後前さえ曖昧な…そんな自分自身や周りの世界が霞む町が嫌になって、灯りの絶えない街に出てきた僕
でも、気づけば映画を見つめ映画に耳を傾け、自ら煙を纏う日々
結局、僕はこういう生き方しかできないのだとさえ思う
それ故に、この「けむりの街の」のいう“けむり”の感覚が沁み入るように響いた
“けむり”の中で、不確かな“未来”にむかってうごめく人々の姿…
映画のデキや内容が特別いいというわけではない。ただ、確かにこれは僕のためにあった一本だ
しかし、なんか煙いなこの映画
煙
煙。