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放送禁止 洗脳 邪悪なる鉄のイメージのyuxiのレビュー・感想・評価

3.5
「邪悪なる鉄のイメージ」、大胆すぎでは?




久慈マリアという料理研究家に洗脳され、夫と離婚・火事で息子を失った江上志麻子を、親友であるビデオジャーナリストのみなみとセラピスト小田島霧花が救う話。



既に放送禁止を見たことがあるなら、作中のヒントで「夫が久慈マリアを殺し、更に妻子を火事から救った」「だから息子は生きていた」のでハッピーエンドでした、という感想になる。けど、放送禁止がそこで終わるわけがない。

以下、バーっと書いてみる。



時系列からしても、真の黒幕は霧花とみなみだと思われる。

霧花とみなみはマリアを洗脳して利用し、志麻子(もしくは志麻子を含めた女性)から全てを奪う計画を立てる。
夫と自宅を奪った時点でマリアが途中離脱したが、脱洗脳過程で二人の描いたシナリオを志麻子の記憶にすり替え、別人であるノリくんに引き合わせることで、帳尻が合った。

記憶のすり替えが行われたのは火事の夜の出来事に関してで、本当はみなみがタバコを投げ入れたのだと思う。(そうでないと、夫が庭に放置した妻子をあんなに早く回収できない)
みなみの喫煙シーンは「みなみが怪しい」というミスリードを狙ったように見せかけた、二重のトラップだったはず。

多分、マリアは彼女の元ファンが語ったのと同じように子供や自宅を奪われた。(マリアの背後の甲冑は、鉄の指輪の暗示)
そして霧花らはその子供を志麻子に「ノリくん」として当てがった。
「ノリくん」も志麻子と同じように、引き合わすまでに同じ手法で記憶をすり替えられている。

ノリくんと志麻子は、恐らくお互いに「相手の知らない思い出」が存在するために、最後の「ママはわすれっぽい」「ノリくんもわすれっぽい」という発言に至った。

ラストで夫のトラックが見切れているのは、二人に会いたいというよりも、霧花やみなみをまだ警戒しているからだと思う。
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