うめはる

ブラックハットのうめはるのレビュー・感想・評価

ブラックハット(2015年製作の映画)
5.0
この映画が評価されてない理由がまじでわからない。


もう事件を観客に理解させようなんて気が端からなくて、ひたすら運動と移動を撮ることと、運動と移動、クリヘムとタン・ウェイを隔てるものを廃していくと言う、擦り合わせと融合への演出の連鎖。

大体、作戦の準備は何してんのかわかんないのを映して、作戦が実行されると準備がなんだったのかわかるように演出されていくから、見せる順番から必然的にミステリーぽくなって国を移動してるだけなのに全然飽きない。

最後の運動がめちゃくちゃ良くできてて、モブなんて数が多ければ多いほど画面が面白くなるんだからあれだけいれば流石に盛り上がっちゃうし、モブの運動に対しての抵抗が時間を遅く感じさせる演出として効いていて、戦うとその場所に止まってしまうんだけどモブが動くから次は運動の中で止まってしまうことの危機感みたいなのがちゃんと生まれてるんだよね。
最後のナイフでグサグサ刺すとことか全体的に『コラテラル』で物足りなかった『ドライヴ』みたいなバイオレンスが見れて嬉しかった。

アクションシーンのカメラワークが気持ち良くて、コリアンタウンのお店、1番びっくりした車にロケランぶっぱとか、最後の決闘は完璧だったし『コラテラル』と比べるとアクションの質が良くなってると言うか、撮り方が良くなってる。

まぁ溝口を見た後だから完全に2人が『近松物語』や溝口のよくやる2人の体重の掛け合いにしか見えなかったんだけど、話が進むにつれて2人の愛を邪魔するものが排除されていくし、排除されていくからこそ最後に残った僕ら観客も2人をモニター越しに監視することしかできなくなる。

『近松物語』同様、愛の勝利なのですよ。
うめはる

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