このレビューはネタバレを含みます
しっかりホラーしててエンターテイメントな作品だった。
脚本に荒いところはいくつかあって、セリフとか展開にすこし違和感を感じたけどラストの仕掛けと主演女優の演技で帳消しといった感じ。
仕掛けにしても実際のところ「シックスセンス」だな〜と思ってしまって驚ききれなかったのはあったけど、観てない人は衝撃的だと思う。
すっかり忘れてて自分も気づかずみれたしラッキー。
家族の絆的な序盤の展開、父親が穏やかで優しくて、「家族を大切にしたい」と何度も言うのだけど、実際のところこの映画のホラー的要素をつくりだしたきっかけは父親の些細な優しい嘘で。
それがなければ彼女は狂った幻影を追いかけることもなかった、という意味では父親はこの物語の諸悪の根源。
最後、夕日をバックにして「ただいま」と穏やかに言う父親と、それを睨みつけるのか、問いかけるのか、すがりつくのか、ないまぜな視線を投げかけるユカリの対比がなかなかにグロテスクで良かった。
「FATHER」はユカリの無意識的な呪いの言葉だった、あたりはすごくよくできてるな〜と。
ユカリの弟への愛だけが、しかも実際にはもう存在しない愛だけが、この物語の唯一の家族愛なあたりは悲しい。
それも自分が殺したのでは、という無意識的な自責の念からきている節もあるからなおさら悲しい。
仕掛けのため仕方ないとはいえ、時系列が複雑なのでパッとわかりにくいのは難点か。
それをあとで連れと確認しあって、二度目の爽快感を味わえるという意味ではいいのかな。
一番良かったのは主演女優、伊藤万理華の演技!
客観的に、出演された俳優さんたちの中でも一番うまかったんじゃないかな〜。演技に違和感を感じさせなかったし、監督も相当やりやすかったのでは。
今後、他の映画、もっとドラマっぽいものに主演している姿を見てみたいなと思わせられた。
山田あかりちゃんもうちょっとみたかった…すぐしんじゃうの悲しい…。