Ayah

METライブビューイング/ビゼー《カルメン》のAyahのレビュー・感想・評価

3.8
オペラってこんなに面白かったの?!?!

物心ついた頃から、中学生くらいまで、1〜2年に1回は親に連れられて観ていたオペラ。でも記憶に残っているのは、「暗くて絶望的な話で、つまらなくて、とにかく眠い。。。」という感覚のみ。。。汗

だから10年以上観に行ってなかったけど、ご縁をいただいて、英国ロイヤル・オペラの舞台をBBCが撮影したものの映画試写へ。

こ〜〜〜〜れが目からウロコな面白さだった!!!

演目は『カルメン』。ジプシーとして生まれ育った魅力的な女性・カルメンと、カルメンに惹かれた二人の男たちの愛憎入り混じる物語。

ストーリーの全体の展開は、ある程度想像がつくものなのだけど、中に散りばめられた要素、特にカルメンの生き様にぐっと心をつかまれる。

男性に粗末に扱われることや、支配されることを徹底的に拒み、愛に翻弄されながらも、自由であることをどこまでもどこまでも求める。女性らしさを全力で武器にしながらも、男性と対等であらねばならないという強い意志もあふれる。

「人間はどこまでも不可解な生き物」

と映画の中の解説で語られていたけど、一言では片付けられない人間の感情の複雑さに、自分の中のいろんな感情も揺り動かされる。

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そして、この作品がこんなにも面白かったのは、8〜9割は演出のバリー・コスキーゆえだと思う。

普通だったら、バックコーラス的になるコーラス隊も、「止まっちゃダメだ!」ってバリーに厳しく言われて、一人一人が自分の役の「人生」を演じ切ってる。だから、一人一人の目と表情に力強さがあって、おもわず字幕を読み飛ばす勢いで、顔を眺めちゃってたほど。

バレエ(ダンス)の振り付けも、かなりモダンでユニークだから、見惚れちゃって、これまた字幕を追うのを忘れるw

大きな階段1つだけの舞台装置も、照明や高低差を活かした演出で七変化!まるでアート作品のように一場面一場面の”画(え)”が美しくて、記憶に残るシーンがいっぱいあった。

そして何より、最後の最後の〆方が、絶対型破りだけど、超良かった!!!(ネタバレになるから書かないけど…)

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これは、私みたいにオペラを倦厭している人にオススメ!おもしろい!
Ayah

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