映画おじいさん

あのひとの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

あのひと(2014年製作の映画)
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観る前は何だか『夢みるように眠りたい』のような映画かなと思いつつ、観た後に『夢みる〜』を全く覚えていないことが分かったので比較が出来ないながら、自主制作映画としてはかなり良い作品でした。

まずは冒頭から出てくる自転車に乗ったIMARU似の女の子が話すちょっとデフォルメされた関西弁の耳触りがとてもとても良い。大抵、そういう関西弁はイラッとするけど、この映画のそれは大成功。普段ならヘドが出るくらい嫌いな、いかにも演劇な俳優さんたちの演技もこの映画にはハマっていた。

「泡はカニにまかせておけ」や「「寂しい」なんてのは大人のための言葉や」など、織田作之助の戯曲をそのまんま変えずに使ったという台詞も印象的。

CMなどで使用される最新式モノクロ専用デジタルカメラで撮られた初めての長編映画ということで、白と黒の対比がシャープで、名画座で観るモノクロとはまた別の美しさがあった。

こういうミニシアターにばっちりな小品に対して「寝た」とか「退屈」なんていう感想を残す人らはどうしてイオンのシネコンに行かないのかな。そういう人向けの映画ばっかりやっているのに。