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あのひとのdnのレビュー・感想・評価

あのひと(2014年製作の映画)
1.0
まずなんで昭和がずっと続いていてなおかつ戦時中の設定???
織田作之助の未発表の脚本だったというけれど、彼の作風からそんなSF的な設定はまずしないだろうし、そのせいで何を伝えたかったのかまったく理解できない。

警察官がタブレット持ち、炊飯器は電気ジャー、登場人物の服装は現代。
もうそこが気になって気になってしょうがない。

あと、織田作之助=昭和の大阪の暮らしだから関西弁なのはわかるけど標準語を話すキャラクターも多数だから更に混乱する。

昭和の慎ましい暮らしをしている人間が急に現代の街を経て駅のシーンになるのも意味不明。
駅舎は昭和の建物風だけど自販機あるし。

駅舎で駅員をやってる女の子は常に切符切りのハサミをカチカチさせていて、その子が弟の髪をハサミで切っているっていう何かの暗示のようなシーンもあったけどとってつけたようにしか見えない。

おそらく織田の作品的にはあのひとというのはそれぞれの登場人物が思い慕うあのひとがいて、それの群像劇なんだろうけどこれらの意味不明な演出のせいで台無し。

最後に監督の挨拶があって質疑応答のコーナーでこれら演出の狙いを話してたけど映像からは汲み取れないし、聞いても???状態。
あと、大晦日直近の冬の設定なのに虫の音が聞こえたり役者以外は半袖だったりで映画をバカにしているようにしか見えなかった…

ていうかそもそも監督自身の言葉で解説する映画って前代未聞だしやっちゃダメでしょ!!

父娘のシーンや長回しカット、光の演出から小津映画のファンなんだろうなっていうのは感じたけどこれだけダメダメだと小津監督にも失礼だと思う…

田畑智子もよく出演オッケーしたな…
とにかくひどかった。

ラストの撮影所の入り口を見せながら登場人物全員が消えていくのは蒲田行進曲リスペクト?

監督の日本映画趣味を存分に入れましたって感じで言っちゃ悪いけど自分の悦のために作った映画なのかな…という感想。
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