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大地を受け継ぐのdoracoのレビュー・感想・評価

大地を受け継ぐ(2015年製作の映画)
3.5
2019.04.29
キネカ大森 名画座二本立て
(併映 沖縄うりずんの雨)
Y

フクイチから65キロの所にある農家に、東京から学生たちが話を聞きに集まった。
語られた樽川さん親子の四年間は壮絶で、放射能に汚された土地で葛藤しながら米や野菜を作り続けている。

東京では福島の野菜は買わないようにしていたと悲痛な面持ちで言う学生に、「当然だよ、俺だって自分のとこで取れた野菜は食べたくねえもん」
「これは風評なんかじゃねえ、現実なんだよ!」

生活のためだけでなく、先祖代々受け継いだ土地を荒らすわけにはいかないという想い。
自死した父への想い。
生産者としての罪の意識。

彼等に東電から支払われたのはたった12万円の慰謝料と、「ご迷惑をおかけしております」という通り一辺の挨拶文だけ。

語り伝えるというドキュメンタリーで、企画した弁護士の手法はとても良かったと思う。
が、映り込んでいる彼の座り方が妙に鼻についてしまって、台無しに。

でもこの映画で、福島の農家の生の声が聞けてよかった。
辛いけれど知ることができてよかった。
大地を受け継ぐということがどういうことなのか、知ることができてよかった。
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