海に沈められた巻網を電動で引き上げ、上下に叩きつけて巻きついた大量の牡蠣をふるい落とす！青空をバックにその上下運動を追いかけるカメラワークの力強いこと。カメラに跳ねて飛び散る藻が、「プライベート・ライアン」のドンパチの血糊みたい。そんな運動と肉体にまつわるこの映画は、人命救助の瞬間。プレハブ小屋設置の瞬間。野良猫との熾烈なデッドヒート。子どもたちの生き物に対する残酷さ。まるでETのような異世界の人同士が牡蠣の食べ方を巡って交流が生まれる瞬間。そして、さんざん仕事の難点をあげたのち、なぜ牡蠣工場を続けるのかという問いに「面白いから」と間髪いれずに答える瞬間。あらゆる決定的瞬間を捉えたかけがえのない145分だ
