Auralee

バタード・バスタード・ベースボールのAuraleeのレビュー・感想・評価

4.0
カート・ラッセルの父親、ビング・ラッセルが立ち上げたマイナーリーグの野球チーム「マーベリックス」のドキュメンタリーなんだけど、出てくる人のキャラ立ちといい、チームの快進撃ぶりといい、その結末までもが面白過ぎてとても実話とは思えない。
しかし残された映像と公式記録から全て本当の事だと分かる。

ハリウッドで名脇役として成功しつつも子供の頃から野球が大好きだったビング・ラッセル。四十代半ばでキャリアが一段落し、息子と一緒にマイナーリーグで野球チームを立ち上げる事を思いつく。
そんなの無理だと世間から揶揄されながらも役者として培った魅力で周囲を味方につけていき、野球オタクを極めた慧眼で選手を発掘。集まったのは既存の野球チームから弾かれた男たちで、人種も様々。ビングはアクの強い選手たちを抑えるのではなく、それぞれの個性を見極めながら導き、能力があると見込めば迷わず若い女性でもジェネラルマネージャーに迎え入れ、観客が喜ぶ演出を思いついたら即実行。ボールボーイならぬボール犬まで作り出してメジャー球団に負けない人気を得る。

なんかもう、この人の野球愛には感心を通り越して感動してしまう。物を見る目の公平さと自由な精神、人気商売なのにいざという時には世間体なんか気にせず信念を貫くところも凄い。
そしてビングだけでなく、チーム選手たちの活躍とその後までも伝説に相応しく魅力的でした。

終盤、当時ボールボーイをやっていたトッド・フィールドの「あれほど夢中になって何かを楽しむ大人たちを見たことがない。自分を導く光としてあれ以上に素晴らしいものはなかった」って言葉が心に残る。
それにしてもなんて愛のあるタイトルなんだろう。見終わってウルっとしてしまった。
Auralee

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