ユーキリス

復活のユーキリスのレビュー・感想・評価

復活(2016年製作の映画)
3.5
イエスが処刑された後、復活する。という有名なエピソードをローマ将校の目から描いた稀有な作品。
ユダヤの神よりもローマの神々を信仰していた男が、イエスの起こす奇跡を目の当たりにして真実を確かめるべくイエス一向に着いて行く……という展開は中々に興味深い。
そりゃああんな事やこんな事を目の前でされた日にはイエス信じちゃうよ!

イエスが布教をし、弟子が集まり、ローマの司祭達の反感を買いしまいには磔刑に処される……という流れは「パッション」や「サン・オブ・ゴッド」でも映像化されており、やや食傷ぎみだったのでその後を描いた本作はそれだけでも価値があるのではなかろうか。
主演のジョセフ・ファインズがまた良い演技をする。自身の価値観が180度変わってしまう出来事に対するどうしようもない反応を表情だけで上手く魅せてくれる。

一方でイエスはというと、常人とは違う神々しさは皆無。どちらかというとインド映画で急に踊り出す通行人のようなオーラだ。
何となくイエスは髪が長くて髭が生えてるよね。というイメージがあって、弟子達が追っかけのように「主よ〜!」と駆け寄るので「この人がイエスなのね」と判断出来るレベル。
「サン・オブ・ゴッド」のイエスはイケメン過ぎて違う!なんて斜め右からの批判が飛んできたが、やはり一俳優がイエスのようなオーラを出すにはイケメン過ぎる方が良いのかもしれない。まあ本作はイエスよりもローマ将校のクラヴィウスが主役なので、あえて地味なイエスにした可能性がなきにしもあらず……

最後に一つ、当たり前だが本作はある程度の予備知識が無いと楽しめない。「なんでイエスって人は処刑されたの?」「なんで平然と復活してるの?」って段階の人は、まず「パッション」や「サン・オブ・ゴッド」を観たほうが賢明だ。

【良かった展開】
・処刑されたイエスのその後という珍しい題材を映像化している
・演出面でも神秘的な雰囲気を上手く表現している
・ジョセフ・ファインズの演技
・イエス映画によくある惨たらしい拷問シーンは無いので安心

【悪かった点】
・予備知識がないとストーリーがよくわからない&盛り上がるポイントもわからない
・イエスが地味