ロマンポルノでよくある団地妻の不倫というテーマに、なぜか猟奇殺人をぶち込んでしまった怪作。
ヒロインも不倫相手もなかなかの美男美女でいやらしさがなく、その分ちょっとしたサスペンスを観ているような気に…なるかと思ったけどやっぱりならない。
リアリティを出す気のない殺人描写と周囲の反応がシュールレアリスティックな世界に見えてならないし、唐突なレズシーンやいきなり現れる頭おかしい女など、最後の最後まで予定調和を許さない展開が続く。
もう後半なんか幻想映画の世界だし。
猟奇殺人の方も、妊婦の人体発火やジャングルジムに絡みつく死体、生きたまま焼却炉などスプラッタ映画ばりのバリエーションを見せてくれる気合の入りよう。
最初の被害者が追われている中で団地の明かりが消えていったり、死体の前でお経を唱えるおじさんがいたり、謎にアーバンギャルドな演出が多いところもカオスに拍車をかけており、一見の価値はあるカルト作品であった。