本日は成人の日。成人式をテーマにした映画ってあったっけ?と思いながら、記憶を辿って着いたのがこの作品。
『監督失格』で有名な平野勝之氏が、1985年に8ミリフィルムで自主製作で撮った、伝説的な映画。
監督、面白いけれど実用的では無いAV(失礼)や、色々過激なドキュメンタリーを撮られており、この作品も以前、一度だけ目にする機会があったのですが、いやもう実に凄まじいの一言でした。
話の内容は至ってシンプル。
時は1月。地上で若者たちがめでたく成人式を迎え、皆幸福に包まれている中、会場近くの運河(下水道にしか見えないのは置いておこう)では、謎の生命体・人間らっことかっぱが、いつ果てるともしれない激戦を、人知れず繰り広げていたのだ…という物。
この二体が何故戦うのか、そもそもこいつらは何者なのかという説明は、劇中では一切なされない。
撮り方が何とも熱量に溢れていて、レンズが水でずぶ濡れになるのも構わず、らっことかっぱの顔面に肉薄、水滴やら泥やら血糊やら良く分からないものを飛び散らせながら、そしてブレッブレになりながらも、ひたすら暴れる両者の姿を捉え続けていく。
そのうち、モスラを10倍くらいグロくした様な、バイオハザード的な謎の生命体が乱入し、3匹の戦いは、混迷を極めていくのだった…。
話の筋などどうでもいい、自分はコレを撮りたいという衝動に満ち溢れた作品で、正に、成人の日を迎えた20歳の皆さんにも観て欲しい、そして初期衝動というか、初心を忘れないでいて欲しい。
もちろん、その衝動をあらぬ方向に向かわせるのはダメですが…良い意味での反骨精神というか。
非常にマニアックな作品なので、そもそも観たことの無い人の方が多数だろうし、名画座での監督の特集上映くらいしか観る機会が無い。
しかし、観られる機会があるなら、是非観て欲しい作品です。
自分がもし映画を撮るとしたら、こういった熱のある作品を撮りたいなあと思います。
いつかまた観られないだろうか…。