RikaS

ミス・レプリゼンテーション: 女性差別とメディアの責任のRikaSのレビュー・感想・評価

4.5
 メディア関係者はもちろん、若い世代も観るべき作品。女性は美しく、セクシーでなければいけない、という価値観は、10〜30代の男性をターゲットとするメディアによって作られたもの、という内容。

ドラマや映画に出てくる女性の大半は若くて美しくてセクシー、恋をして意中の男性を手に入れることが成功とみなされる世界。キャリアウーマンを主人公とする作品も稀にあるが、彼女たちは家庭を犠牲にしてキャリアを選び、男性の権威に挑戦する、というストーリーが大半。現実世界では、家庭もキャリアも両立している女性が多いというのに、その現実像は採用されない。このメディアによって確立される女性像によって、メディアに触れる機会の多い若者の価値観は形成され、政治家をはじめ、リーダーになろうとする女性の意欲を喪失させる。

この作品で批判されているのはアメリカ社会だが、もちろんこの批判はその大半が日本にも当てはまる。女性を「モノ」化し、例えばネットで女性芸能人の名を検索するとカップ数を検討するようなサイトが散見され、性的対象として彼女達を取り扱っていることが感じられる。
私自身は女子アナのあり方に違和感を覚える。
ニュースを正しく伝えることが目的の彼女たちに求められるのは、知性、話し方、そして視聴者に不快感を与えない程度の身嗜みのはずだ。しかし、現実には、ルックスがそれ以上に重視されているように感じられる。胸の谷間を強調するアメリカのキャスターはそれに加えてセクシーさが求められている。

ある意味、生物学的にはそれが正しいのかもしれない。外見的、性的魅力のある女性を求める行為は生き物としては間違っていない。しかし、私達は他の動物と人間を差別化し、優位性を主張してきた。それならば、女性に対しても、彼女達の知性や強さをより尊重すべきではないか。
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