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ビキニ・カー・ウォッシュのToranosaurusのレビュー・感想・評価

ビキニ・カー・ウォッシュ(2015年製作の映画)
3.5
よくSNSなどで「ポリコレ/コンプラのせいで映画がつまらなくなった」という意見を見かける。大抵の場合、映画を大して観てもいない人がそういうことを言っている印象がある。この映画はそういう人のための格好の教材になる(迫真)。本作はビキニのおねーちゃんがエロい映画ではないのだ。

【以下、ネタバレ】
いや、基本的にはビキニのおねーちゃんがエロい映画なのだが、性を売り物にするビジネスへの批判が入っているのがポイントだろう。女の子たちの方がエロサービスに積極的になってしまって、経営者である主人公がたしなめる。女の子の側から「楽しくて稼げるなんてサイコー!」と言わせつつ、それはあくまでも搾取なんだ、という姿勢を崩さないのもうまくできている。全体的に、ビキニにならずにドキュメンタリー映画を撮る女友達がいるおかげで、ビキニ・カーウォッシュはお馬鹿なビジネスで、男女ともに性を商売に持ち込んでおり、でも、さしあたりの現状としては誰も不幸にしていない、というラインが構築されている。
この他にも、本作はエロ映画に見せて、意外と純愛思考だったり、ビジネスとしての成功がかなり浅く語られていたり、ドラマ的にもベタなりに楽しめるようになっている。
というわけで、本作はどう考えてもポリコレに配慮した作品なのだが、だからといってこの作品のエロさやお馬鹿感を損なってるわけではない。それこど、これ以上やりすぎても別に...という感じなので、この辺の線の引き方は劇中の問題だけでなく、本作全体の問題でもあるのだろう。
これからは「ポリコレのせいで映画がつまらなくなった」という声を聞いたら、声を大にして「ビキニ・カーウォッシュがあるぞ!」と言おう。言わないけど。
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