Rita

白鳥のRitaのレビュー・感想・評価

白鳥(1955年製作の映画)
4.6
お姫さまは恋をすることで教訓を得る。🦢

お姫様は皇太子と結婚し王妃になる為、殿下の気を引こうと自分に好意を抱いていることを知りながらも学問を弟たちに教える先生を舞踏会に招待するのだが、先生はお姫様に対し猛烈に愛を語り、徐々にお姫様は彼に惹かれていく。先生とお姫様の間に嫉妬する殿下の三角関係が描かれている。王妃になる前にお姫様が体験した切なくも美しい恋のお話。

フィレンツ・モルナールの戯曲を映画化。貴族と庶民、あってはならない恋。豪華で素敵なお屋敷に舞踏会。甘くそして威厳を知るおとぎ話。何もかもが華麗でユーモラスな物語でした。グレース・ケリーの演じるお姫様は美しく、気品に満ち溢れていました。

皇太子とお姫様のぎこちない会話や息の詰まる空気など見事に表現されているのは凄かった。三角関係はどろどろではなく、真面目に本性をぶつけ合う姿に目が離せませんでした。先生と二人で見た湖に浮かぶ美しい白鳥。とてもロマンティックなシーンでしたが、決して二人が結ばれてほしいとは思わなかった。しかし、この作品には一人の男性として美しい女性に好意を抱く存在は必要不可欠でした。

皇太子がお姫様を透明かの様に扱った訳も、嫉妬心を抱いていることも最後に分かり安心しました。登場する人物が一人一人理想通りの考え方をする人たちだったので良かったです。魅了するエンディングにもとても満足です。湖から上がるのではなく留まることの意味を理解したことでお姫様は一夜で大きな成長を遂げたのだと感心しました。

お茶目な殿下が可愛かったです。大人になっても少年の心を忘れていないが、殿下としての使命など自分のするべきことを把握していて、そのうえ人を尊重することのできる人物像が素晴らしかったです。ラストのお姫様が殿下を受け入れる時、殿下がちょこっとお姫様の手に触れて反応を確認してるのが可愛い。殿下がお姫様を"白鳥"のような人だというセリフを言うシーンが素敵すぎて胸が熱くなりました。湖からでるとガチョウのような鳥でも、湖で静かに滑るように進んでゆくからこそ白鳥は美しいのだと。
Rita

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