おかだ

アンチャーテッドのおかだのレビュー・感想・評価

アンチャーテッド(2022年製作の映画)
4.0
あるある映画芸人、その本領


午前中は「コーダ」にメソメソと泣かされたので、午後はヘラヘラ楽しめる映画を観たいと思ったところで最適解としての「アンチャーテッド」。

トムホランド坊と筋肉芸人マークウォールバーグによるバディアドベンチャームービーとくれば、私の笑顔も守られること請け合いです。

という訳で「アンチャーテッド」。
手堅く作られたアドベンチャージャンル映画の佳作に仕上がっており、とても面白かったです。

ちなみにPlayStationの人気ゲームシリーズの実写映画化となる今作。
初めにことわっておくと、当方ゲーム版は未見ながら全く問題なく楽しむことができた。


物語はトムホランド演じる主人公と、相棒としてのマークウォールバーグのコンビが財宝を求めて世界中を舞台に謎解きとアクションを繰り広げるというもの。
同じアドベンチャージャンル映画である「インディジョーンズ」や「レディプレイヤー1」にも似た極めて明快なプロットを持った作品。

そんな典型的なジャンル映画たる今作を手掛けるのは、ジャンル映画を手堅く作り上げることにおおて他の追随を許さない作家、ルーベンフライシャー。

現代的なメタ的要素も上手く組み込みつつ、生真面目にロメロを蘇らせた傑作「ゾンビランド」や、律儀にマフィア映画を撮りきった「LAギャングストーリー」等、信頼に足るフィルモグラフィを携える映画監督である。

そんな訳で、今回もジャンル映画における"お約束"や"あるある"をしっかりと抑えながら映画は展開する。

オークション会場でのケイパームービー感や、ヨーロッパの教会での謎解き、果ては上空での大乱闘などそのサービス精神は旺盛だ。


個人的には、とりわけ今作では活劇やバディの関係構築といった本題にじっくりと取り組むべく、序盤の流し方がもの凄くシャープである点を評価したい。

オープニング、あえて終盤のとある一幕からスタートし、落下のシーンに被せた回想からマークウォールバーグとの出会いと冒険への出発までのテンポが良いので、ストレスが少ない。

また、あえて終盤の一幕からスタートして、遡った時系列が合流するというトリッキーな編集は、とある人物に車で轢かれるという反復表現など極めて映画的な演出としても作用している。

もちろんラストは、マークウォールバーグがトムホランドに手を差し伸べるという、冒頭で見せた兄弟描写との反復によってバディムービーとして完結させるというお約束も抜かりない。

また、最後まで主人公と信頼し合えないクロエというキャラクターも、この手の映画でのあるある表現として完璧だったと思う。


他にもトムホランドが終始カッコいいとか、音楽とアクションがそれなりに今っぽくて見やすいとか、色々と楽しめる点はあるが、わけても今作はマークウォールバーグ。
終始とてもいい表情をしていた。


という訳で、とても面白い映画だと思うので幅広い層にオススメしたいと思いました。
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