このレビューはネタバレを含みます
マレーシアの都心、その中心に位置するブラーニ村。かつては3人の戦士によって守られた村だったが、今では不法居住者にギャングらが犇き合う犯罪の温床となった。しかしその立地の関係から地価は高騰し、数多の思惑が渦巻く最重要地でもあった。
ブラーニ村出身のファディル(ジザン・ラザック)は正義のヒーローに憧れていた。ひょんなことで犯罪王の手下パイランを倒したと勘違いされアダム(カマル・アドリ)、アブー(ヤシン・ヤヒヤ)らの協力を得て村を守るため、舌先三寸、はったりを駆使し戦っていく。
マレーシア生まれ、ハリウッド映画育ちなアクション・コメディ。
アイアンマン、マトリックス、トランスフォーマー、バッドボーイズのポスター。アダムのTシャツがマン・オブ・スティール。それどころかアイアンマンとバンブルビーが登場までする。これがマレーシアの経済力か。
雑なVFX、雑な早回し、雑なワイアー。ガラパゴス諸島から抜け出せなかったチャウ・シンチーが2010年代半ばにやってきたのかと思った。
アクション・シーンはカット割が多く、多少の見辛さはあるが、カマル・アドリとアブーの名もなき弟子役の二人はかなり動きがいい。カンフーしてた。マレーシアなのに、存外にカンフー感。
村を守るために警察を呼んだり、村人たちが立ち上がりギャングを吉本新喜劇スタイルでボコボコにしたりする。
ファディルは家族を救うためマイケル・ベイ。
アダム対ラスボス戦は詠春拳っぽい動きもあり、映像的にも面白かった。どこかで観たようなのが盛り沢山だけど。静止画風のアレ、呼び方わからんけれどアレ本当に好き。ラスボスが超能力でナイフを飛ばすが、避けられ自分に突き刺さり死ぬ。蛇拳みたい。
遺恨とかそういう細かいことは置いておいて、ブラーニ村は平和になる。ファディルは次回作まで村を出ていき終幕。
主役が完全に空気。カンフーはしないし、マフィアでもない。メタいことばっか言う。
ストーリーは直線的なようで支離滅裂気味で、緩急もそんなにない。盛り上がり的にも山というより丘。意味ありげなキャラクターがそんなに意味がない。
ただ、コメディ色が強くて、思ったよりふふふと微笑めたりもして。面白かったけど、人に薦められるかと言われればそうでもない。
ガリガリ君のコンポタージュ味を初めて食べた時と同じ感覚です。
続編あるの?