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太陽は光り輝くのkouheikoizumiのレビュー・感想・評価

太陽は光り輝く(1953年製作の映画)
3.0
鑑賞番号2004
53年のジョン・フォードによる「プリースト判事」の一本。南北戦争から40年、南北戦争で戦った退役軍人たちの対立の名残が残る、ケンタッキーの田舎町。巡回判事の選挙が間近に控えるプリースト判事(チャールズ・ウィンガー)は、自身の再選に向けての活動に余念がない。
南軍の将軍に頭を下げる判事の姿や、南軍退役軍人会、北軍退役軍人会などが紹介されるが、初見だと時代錯誤感がありピンとこない。

町の名家の息子らしいアシュビー(ジョン・ラッセル)が蒸気船で帰ってくる。町医者の娘でこの作品のヒロインともいえるルーシー・リーとアシュビーは魅かれあっているようだ。ルーシーは実は養女で将軍の孫娘だが絶縁状態にあることが徐々に明らかになる。といった展開も説明不足の感が否めず、ルーシーの実母であるドロシー・ジョーダンが娘に会いに蒸気船でやってくるが、娼館ですぐに亡くなってしまう展開も駆け足すぎて唐突感があり、焦点が定まっていかない。

が、婦女暴行の嫌疑をかけられた黒人青年をリンチにかけようと殺到した煙草農家の一団を毅然とした態度で追い払うあたりから、プリースト判事の公平で思いやりのある人間性に一気に焦点が当たり、ルーシーの実母の葬送が町を行進するシークェンスで、ひとり、またひとりと、判事の列に人々が加わっていく荘厳なシーンが差別をものともしない人々の勇気で大きな感動を呼ぶ。

真犯人が白人であることを突き止めた煙草農家の人々の票を得て、目出度しめでたしとなるのだが、扉の枠に判事の背中という「捜索者」を想起させるコントラストの利いたラストショットが強烈な印象で、筆者的には評価の高い冒頭のドロシー・ジョーダン登場シーンに勝る。
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