思春期を通り過ぎた大人にとってこの映画は単なるファンタジーホラー作品ではなく、自分自身の過去の投影になりうると思う。
特に女性は皆初潮をきっかけに急に自分の意思と反して大人になることを強いられ、身体が著しく変化していくことに不安や恐怖を感じる。
この作品ではその不気味さを、実際に初潮を迎え身体が異形へと変態していくミアの心情と重ね合わせているのだろう。
身体が大人になるならばそれに合わせて自分も大人にならないといけないと焦りを感じ非行に走るのも、己自身に戸惑いその感情を親にぶつけて鬱憤を晴らすのもいかにも思春期らしいと思うのだが、15歳で酒、タバコ、ドラッグ、援交はさすがにファンタジーであって欲しいと願わんばかりだ。
ラストシーンで海に漂うミアを観て、人はみんなミアのように悩みもがき苦しみ、でもそんな自分を愛して受け入れて大人になったんだなと改めて感じさせられた時、私にとってこの映画は大切な作品になった。