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ドブ川番外地のclintwestwoodのネタバレレビュー・内容・結末

ドブ川番外地(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

少し甘い評価になるが、若さの勢いを感じる、とにかく熱い、熱苦しい(褒め言葉)傑作だった。
映画の世界観をまさに的確に表したタイトルの通り(自分はこのタイトルに惹かれて観ることにした)、よくある典型的な落ちぶれた人々の再生の物語であるが、スピード感のある演出と尺の短さで飽きさせない。
演出に関して具体的に言うと、まず、オープニングのカッティングを使った緊張感は見事。中盤のフラッシュバックも同様である(このシーンは監督のこだわりが詰まっているであろうドチャクソにかっこいいシーンであった。全般的にこの監督は映画が大好きなのであろう。オタク的なこだわりが多く見られる笑)。それに対してラストシーンは、さらば青春の光を彷彿とさせる静謐で美しいシーンで、胸にこみ上げるものがあった。
また、初見ではよく考えていなかったが、川が落ちぶれた者たちと常人の境界になっているという指摘を見て、確かにそうだったなと感心した。こういうモチーフの活かし方は太宰の斜陽を思いだす。
ギャグセンスも申し分なし!新喜劇並みにベタではあるが、それもまた味ということで笑。名もなき警官とローラースケート、ヤブ医者とヤブ看護師コンビがいい味出してる。
演技がいい意味で素人くさく、とても現実味を感じた。ドライブ・マイ・カーを直前に見たため、より居心地が良かった笑。
B級でA級という不思議な名作。王道の名作を久しぶりに見た気がする。もっとこういう作品が増えてくれ………!(主題歌も最高。特に詩が染みる。サウンドトラックを買わなかったことを後悔)
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