画面に捉えられた草、砂、風、水、空の青が目を見張るほど美しい。恩寵の如く、というべきだろうか。
ジャネット以外の登場人物は専らジャネットの主観ショットと客観ショットで捉えられるが、ジャネットだけは時折何者かの主観ショットで捉えられる。神の主観ショットといえるそれは、上空からの俯瞰ショットのみならず冒頭のジャネットが川の中を歩いてくる一見何でもないアングルからすでに始まっている。客観ショットのように見えて、ジャネットの動きに寄り添うように繊細に揺れ動く主観ショット。その神の視線の密やかさがこの映画のもう一つの美しさである。ジャネットを見つめる神は私たち観客同様に、彼女の瑞々しさから目を離すことができず、驚きをもって静かに打ち震えているに違いない。
