映画おじいさん

わが闘争の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

わが闘争(1968年製作の映画)
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瞬きせずに目をひん剥いた佐久間良子がとにかく怖い。アバズレ役が滑稽なくらい似合わずに熱演で乗り切ろうとする佐久間良子が最高。女優魂を見せてやろうな熱演というのは大抵が痛々しいけど本作の彼女はそういうところが逆に魅力になっていた。

佐久間良子が吉田日出子をおんぶして理不尽に命令されながら走るシーンが凄く良かった。

加賀まりこのシークエンスもベタでキュートで面白いけど佐久間良子の迫力の前では印象が薄い…。

中山仁が精神を病んだ母親の死をすべて台詞で説明するのは雑な演出だなあと思った。中山仁自体の扱いが雑(いつの間にかフェードアウトでしたよね?)なのは◎。

東映映画の雑な部分だけを取り入れたワイルドな松竹映画という感じで、別にカルトというほどおかしなことにはなってはいない。

ストーリー&設定が今東光原作の鈴木清順作品『河内カルメン』(1966年)に凄く似ていると思ってしまったのは両作品をたまたま同日に観たからか。テイストは本作が陰であちらが陽で随分と違うけどどちらも面白かった。