よふかし

ソヴァージュのよふかしのレビュー・感想・評価

ソヴァージュ(2018年製作の映画)
3.6
男娼の主人公は立ちんぼで客を取りその日暮らしの生活をしている。家はなく路上の水を啜り顔を洗う…

こういった現実がどこかにあると感じさせる映画で本当に辛い気持ちになる。二度は観たくない。
彼がまともな教育を受けられない環境で育ったことは一目瞭然。家もない、薬をやっている今のままで何がダメなのかわからないと純真無垢な目をして女医に言う主人公。声には出さないが診察してもらっている時に女医を抱きしめてしまうシーンは彼の求めている愛が伝わってくるようで切ない。救いたいと手を差し伸べてもそれを払いのけどこかに消えてしまったり、冷たく突き放されても好きな人だと必死に追いかけたり、汚い姿から醸し出される今にも死んでしまいそうな野良猫感…あんな猫みたいな彼を見たらあのおじさんのように拾わざるを得ない。友人も冷たくしながらもなんだかんだ助けてくれるところにキュンとした。
最後自分の居場所に帰るシーンは衝撃的だった。あの後彼はどうなってしまうんだろうね…。
カメラワークが印象的でズームが多用されていて、映画ではけっこう珍しい気がする。主人公が無銭で黒くてデカい物体ぶっこまれた後パトロンおじさんに飼われてる友人のところへ行った時の反対車線から追うところや、路上の水を飲むカットはまさに他人の目から見る「可哀想なホームレス」でありリアルすぎて驚いた。
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