こはやし

DUNE/デューン 砂の惑星のこはやしのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.7
ドゥニ監督の作品は常に静寂の中の重厚感を漂わせるのが巧み。舞台が砂漠とあっては尚更それが引き立つ。
見渡す限り砂と太陽しかない空間に登場人物達と音楽だけでカメラで切り取られた空間は常に重く静か。その効果を増すように配置される洗礼されたデザインの建物、飛行船、収穫機。大きく切り出された岩で建てられどっしりとした無駄のないデザインの建築からは朝を迎えるとさーーっと光が差し込む演出が特に好き。
SFで戦闘機や重機を丁寧にデザインされているとやはり気持ちが高ぶる。羽ばたき機のデザインは砂漠の空を覆う砂漠飛びバッタのような姿で無駄に派手でない色合いなのも良い。
収穫機も「惑星キンザザ」や「ナウシカ」に登場してそうなキャタピラ式の素朴な感じが砂虫という神の前では無力な感じが好き。

ドゥニ映画のデザインは無駄の無い洗練さと無機質な重みと異物感を備えている。
「メッセージ」で話題になったバカウケのような宇宙船がいい例である。
環境とのその異質感は必ずしもデザインとしての違和感にはなり得ないむしろ近未来の進んだデザインに見えてしまう。「エイリアン」シリーズのH•Rギーガーの描くデザインの影響を感じる。

ただ正直一つの作品として見るとあまりにもエピソード1感があってやや薄味で見せ所があまり無いのっぺりとした印象。

あり得たかも知れないホドロフスキーのDUNEのせいで今まで観る気になれなかったが十分面白かったし寧ろ現代のSFという感じがした。
でもやはり、バンドデシネからはジャンジロー、建造物をギーガー、役者人にオーソンウェルズ、ミックジャガー、ダリの面々はどう転んでも歴史に残る物になっただろう…。
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