パングロスさんの映画レビュー・感想・評価

パングロス

パングロス

先生の白い嘘(2024年製作の映画)

2.3

◎性愛と暴力を描くことの暴力性に無自覚な監督

性愛をめぐる不均衡や暴力性をテーマとする作品であり、そうしたテーマに対して、その種の作品への出演歴がない若い俳優を起用して、正面から取り組もうとした意欲
>>続きを読む

宝の山に入る退屈男(1938年製作の映画)

2.9

1938年 新興京都 モノクロ 64分 スタンダード
*ホワイトノイズ、コマ落ち等あり

市川右太衛門の代名詞とも言うべき、「旗本退屈男」映画の1930年の古海卓二監督による第1作から数えて第9作。
>>続きを読む

リングの王者 栄光の世界(1957年製作の映画)

2.8

1957年 新東宝 モノクロ 76分 スタンダード

宇津井健演ずる築地に出入りする魚屋の青年がファイトマネーを手にしようと、プロボクサーになる話。

石井輝男監督デビュー作だそうで、確かに、撮影のシ
>>続きを読む

青春怪談(1955年製作の映画)

3.8

◎69年前に先取りしていたLGBTQ+なラブコメ

1955年 新東宝 モノクロ 104分 スタンダード
*少しホワイトノイズあるも鑑賞に支障なし

獅子文六が読売新聞に連載した小説を、新東宝で阿部豊
>>続きを読む

江戸の悪太郎(1939年製作の映画)

3.4

◎やっぱり知性を感じるアラカンの寺子屋先生

1939年 日活 85分 モノクロ スタンダード
*ホワイトノイズ、コマ落ち等多々問題あり

せっかくのマキノ正博による時代劇作品だというのに、フィルムの
>>続きを読む

n.SSign THE MOVIE(2024年製作の映画)

4.0

K-pop 系のオーディション番組も花盛りで、日本人参加者も珍しくなくなった。

‥‥どころか、日本人メンバーは今や多国籍K-pop グループには必須のものとなっている。

オーディション番組「青春ス
>>続きを読む

怪談かさねが渕(1957年製作の映画)

4.6

◎短くても完璧「累ヶ淵」怪談の最高峰 まず必見

1957年 新東宝 モノクロ 66分 スタンダード
*僅かに問題あるも全体的に状態極めて良好
(原題『怪談累が渕』改題縮尺版)

「四谷怪談」と並ぶ日
>>続きを読む

鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ) 地球滅亡寸前(1957年製作の映画)

1.6

◎モッコリ宇津井健御大 怪星人カピア人掃滅編

1957年 新東宝 モノクロ 41分 スタンダード

で、後編だそうです。

怪星人の名前は、カピア人ってんだそうです。

ケムール人なら知ってたんです
>>続きを読む

鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ) 怪星人の魔城(1957年製作の映画)

1.8

◎元祖モッコリ 宇津井健主演国産初特撮ヒーロー

1957年 新東宝 モノクロ 51分 スタンダード

まぁ、よほどのマニア、ってか珍品好きやイカモノ喰いぢゃないと付いていけない何ちゃって特撮宇宙人ヒ
>>続きを読む

柳生二蓋笠(1938年製作の映画)

3.8

◎明朗豪傑 市川右太衛門の柳生二代目相続てん末

1938年 新興キネマ 58分 モノクロ スタンダード
*一部コマ落ちありホワイノイズ少なく状態良好

これも面白かった。

三代将軍家光(市川男女之
>>続きを読む

煙突の見える場所(1953年製作の映画)

3.4

◎五所平之助版ベイビーブローカー&長屋紳士録

1953年 新東宝 モノクロ 108分 スタンダード

ベルリン国際映画祭で国際平和賞を受賞したり、国内でも名作が多かったこの年のキネ旬第4位と評価が高
>>続きを読む

YOLO 百元の恋(2024年製作の映画)

2.6

◎果たしてこれはリメイクか 諸刃の剣となる克己

まず、本作について少しでも関心を持ち、鑑賞したいと考えている人は、公式サイトはじめ一切の情報を遮断して、完全に「無」の状態で劇場(ないしは配信等)に臨
>>続きを読む

鞍馬天狗 青胴鬼(1952年製作の映画)

3.3

◎薩長&鞍馬天狗vs新撰組の対決と白河卿救出劇

1952年 綜芸プロ/新東宝 モノクロ 73分
スタンダード *ホワイトノイズあり

並木鏡太郎監督によるアラカン鞍馬天狗で、こちらは本来の(?)幕末
>>続きを読む

鞍馬天狗 大江戸異変(1950年製作の映画)

4.0

◎武士を捨てた近代人鞍馬天狗 孤児院設立に奔走

1950年 綜芸プロ/新東宝 モノクロ 102分
スタンダード *ホワイトノイズあり
 ※タイトルテロップは「角兵衛少年と天狗騒動」

アラカンこと嵐
>>続きを読む

毒親<ドクチン>(2022年製作の映画)

4.5

◎極めて誠実な「母という呪い」に対する処方箋

ここ2年ほどの間に観た韓国映画のなかで、もっとも優れた作品だと思う。

本作も、《すべての家族は呪いであり、呪われていない家族などないのだ(*1 )》と
>>続きを読む

ハワイ珍道中(1954年製作の映画)

2.9

◎楽しめるハワイロケ敢行観光Musical Comedy

1954年 新東宝 カラー 89分 スタンダード
*褪色もあまりなく、状態はかなり良好

イーストマン・カラーによる新東宝初のカラー映画だと
>>続きを読む

現金と美女と三悪人(1950年製作の映画)

1.2

◎短縮もあるけど元々も酷い初期市川崑ノワール

1950年 新東宝 モノクロ 62分 スタンダード
*ホワイトノイズ、コマ落ち等あり

監督:市川崑の表記を見て、悪い予感がしたが、案の定、惨憺たる出来
>>続きを読む

億万長者(1954年製作の映画)

2.1

◎つまらなくて?寝た初期市川崑の不条理コント

1954年 新東宝配給 モノクロ 83分 スタンダード

朝早く起きたのは良いものの、せっかく観に来た映画館で寝てりゃあ、世話はない。

‥‥のだが、続
>>続きを読む

吹けよ春風(1953年製作の映画)

2.8

◎三船敏郎/黒澤明脚本だが相当緩いTaxiDriver

1953年 東宝 モノクロ 88分 スタンダード 35㎜
*状態は特に問題なし

黒澤明の脚本、32歳の三船敏郎主演、さらには三船主演のクロサ
>>続きを読む

言えない秘密(2024年製作の映画)

4.0

◎ショパンの連弾で結ばれた古川琴音と京本大我

予告編で、どうもピアノがメインの話らしいということで観ることにした。

映画.comの高評価に対して、Filmarks の平均スコアがやや低めなのは、ス
>>続きを読む

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)

3.7

◎オールスタア超大作 絵解き実録暗殺テロ日本史

1969年 東映京都 カラー 142分 シネスコ 35㎜

再見。三回目かも知れない。

鑑賞日/鑑賞方法の記録は今回の再見時のものとし、前投稿を削除
>>続きを読む

三百六十五夜(総集篇)(1948年製作の映画)

2.3

◎情けない色男上原謙主演Jukebox メロドラマ

1948年 新東宝 モノクロ 118分 スタンダード
*ホワイトノイズ多し

市川崑の初めてのヒット作だというが、主演の上原謙は情けない金も力もな
>>続きを読む

血煙高田の馬場(1937年製作の映画)

3.8

◎上手い面白い流石マキノ/阪妻の血煙高田馬場

1937年 日活太秦 50分 モノクロ スタンダード
*ホワイトノイズ、褪色などあるも状態まぁ良し

いやぁ、さすがにマキノ正博(稲垣浩は名義だけ貸して
>>続きを読む

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

3.7

◎トーキー初期パロディックコメディの丹下左膳

1935年 日活太秦 84分 モノクロ スタンダード
*ホワイトノイズ、コマ飛び、音飛び多し
(次回は4Kデジタルリマスター最長版で観たい)

山中貞雄
>>続きを読む

生きている画像(1948年製作の映画)

4.4

◎隠れた名作 老画家の独身生活と愛すべき弟子達

1948年 新東宝製作 東宝配給 モノクロ 93分
スタンダード *ホワイトノイズあり

やはり、隠れた名作は、あるものだ。

いったい誰が『生きてい
>>続きを読む

憧れのハワイ航路(1950年製作の映画)

2.3

◎ヒットシンガー岡晴夫メインのJukeboxシネマ

1950年 新東宝 モノクロ 78分 スタンダード
*ホワイトノイズあり

今も懐メロ、カラオケの定番ソング「憧れのハワイ航路」をそのままメインに
>>続きを読む

雪之丞変化 第二篇(1935年製作の映画)

3.1

総集編で鑑賞(再見)したレビューを、「第一篇」の方(パングロスの映画一覧でこの一つ前)に投稿しました。

《上映館公式ページ》
京都文化博物館
熱狂!チャンバラ・スターの時代 甦る伝説の六剣聖
202
>>続きを読む

雪之丞変化 第一篇(1935年製作の映画)

3.1

◎歌舞伎役者林長二郎 トーキー初期セット時代劇

1935年 松竹下加茂 総集編 モノクロ 101分
スタンダード *ホワイトノイズ、コマ飛び多し

たぶん再見だと思う。

林長二郎、後の長谷川一夫(
>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

4.0

◎敗戦後銀座女給の生き残り戦略と女子会トーク

1951年 新東宝 モノクロ 87分 スタンダード
*ホワイトノイズあり

成瀬巳喜男監督作品としては、比較的知名度が低いのではないだろうか。

だが、
>>続きを読む

ラッキー百万円娘(1949年製作の映画)

3.4

◎天才子ども歌手という狂気 jukebox オペレッタ

1949年 新東宝 モノクロ 56分 スタンダード
*状態は鑑賞に支障なし

舞台芸術、ステージエンターテイメントの世界では、「ショウストッパ
>>続きを読む

朽ちないサクラ(2024年製作の映画)

1.1

◎犯罪的過ちを犯している下手くそ警察ノワール

柚月裕子氏の原作にどれだけ忠実か乖離しているかは未読のため分からないので、言及できない。

だから純粋に映画としての出来ばえだけで観ると、演出力ゼロの下
>>続きを読む

映画 おいハンサム!!(2024年製作の映画)

4.0

◎令和パングロス?オフビートなピカレスク群衆劇

「行って京野菜」

「もし明日世界が滅亡すると言われても、一本の苗を今日植えるんだ」

何の事前情報も入れず、今日はちょっと軽いラブコメでも観るか、と
>>続きを読む

男達ばやり(1931年製作の映画)

2.5

◎コメディタッチの旗本奴と町奴と意地の張合い

1931年 千恵蔵映画嵯峨野作品 87分 モノクロ
スタンダード サイレント *状態は中ぐらい

さすがにサイレント映画を、完全無音で1時間半近く見続け
>>続きを読む

#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版(2024年製作の映画)

3.3

火蓋が切って落とされた都知事選で、いわば第三の候補として注目を集めている石丸伸二とは、何者かを知るのに恰好の教材になるのではないか、と期待して急遽、観ることにした。

さすがに選挙中の東京都内では上映
>>続きを読む

BRING THE SOUL: THE MOVIE(2019年製作の映画)

4.1

◎BTSが世界の頂に駆け上った2018年の舞台裏

BTSに本格的にハマったのはコロナ禍で暇を持て余していた2020年2月。

YouTube を漁っていて、彼らの新曲 “ ON “ の2つのMVにた
>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

3.7

◎原作の一部だけ切り取ったか ガッキー新境地2

原作コミックは書店で見かけるたびごとに気になっていたが未読。

タイトルから、てっきりSFか、パラレルワールドものか、政治フィクションか、などと想像を
>>続きを読む