Auralee

アグネスと幸せのパズルのAuraleeのネタバレレビュー・内容・結末

アグネスと幸せのパズル(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

自分を平凡だと思っている専業主婦がやりたい事を見つけて人として輝き始めた途中までは、とても楽しめた。特に冒頭の誕生日の準備をし、客をもてなし、夫が壊した皿の破片を片付けるシーンからの、ハッピーバースデートゥアグネスは彼女の孤独と立場を表した良い演出だったと思う。

しかし後半、パズルパートナーであるロバートにキスをしたあたりから残念な展開でした。どれだけ尽くしても当たり前で気遣いのない家族や閉鎖的なコミュニティから逃れたいと思う気持ちは分かる。不倫がいけないなんて言うつもりもない。彼女はセックスに溺れたわけではなく、現状から目を背けて逃げただけなんだから。
でもねー、自分のやり方を貫いて優勝し、自信を取り戻してからはロバートととも別れ、スッキリした顔で終わるエンディングにはなんだかなあという残念さがこみ上げた。

そもそもアグネスは不満に思っても自分の考えを口に出して伝えていない。夫にも私をもっと庇ってよって訴えるだけで、どうせ分かってないんでしょって態度を取っている。夫婦なのに話し合いがないのはどうなんだろうって思ってしまった。(ルイは鈍いけど悪い人じゃないし、浮気してるって聞いて涙目だったので思わず同情したくなっちゃった)長男とは絆が見えるけど、休学してチベット行きを宣言した次男には嫌味を言うのではなく、もっとぶつかっていけばいいのにと思ってしまった。
ロバートにも愛してるって電話で言ってたけど、本当に愛してるようには見えなかった。悪く言えば彼を最後まで自信をつけるために利用した形になったので、途中からアグネスに共感出来なくなった。

それでもケリー・マクドナルドの佇まいはとっても上品でチャーミングだし、中盤までは良いなあと思いながら観てたのでスコアはオマケしときます。これが女性の自立を描いたものだというなら薄っぺら過ぎる。
似たようなテーマでイルファン・カーンが出演なら「めぐり逢わせのお弁当」の方が余韻の残るいい着地だったように思う。
それでも機会があれば元になった幸せパズルも観てみたい。
Auralee

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