通りすがりのいがぐり

アラビアンナイト 三千年の願いの通りすがりのいがぐりのレビュー・感想・評価

5.0
物語による救済

孤独は人を強くすると言う考えがある。この映画はそれを真っ向から否定する。

摩訶不思議で奇妙奇天烈エキセントリックなテンションで繰り広げるお伽話を撮ったのは巨匠ジョージ・ミラー監督。マッドマックス怒りのデスロードことMMFRからおよそ8年。まさかまだまだエネルギッシュな物語を作れることに驚き続けた108分間だった。3つの願いを叶えるために切磋琢磨するランプの魔人と孤独を学問で埋め続ける学者がホテルの一室で繰り広げる語りと質問の嵐。嵐を抜けて辿り着く一つの顛末の末に描かれるのは物語にある救済の力についての一つの結論だった。

物語は古今東西問わず人類史において常に人を喜怒哀楽の感情で揺れ動かし続けた。何故こうも続いてこられたのか?物語そのものには一体どんな力が働いているのか?その疑問の一つの答えがここにある。物語に救われた人ほどこの映画はきっとお気に入りになる事だろう。