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誰がキャプテン・アレックスを殺したかのMyのレビュー・感想・評価

4.1
ウガンダ初のアクション映画。YouTubeで全編無料公開されている本作は「新しさ」という観点において他の追随を許さない映画と言い切れる。
麻薬の取引現場に突撃したウガンダ軍。銃を撃ち合う激しい抗争の末、惜しくもマフィアのボスを取り逃がしてしまう。激怒したマフィアのボスは軍隊にスパイを送り込み、隊長を殺害する。Alexを失った彼らは復讐に燃える!
まず特筆すべき点として、全編通してハイテンションなオッさんのナレーションが付くことだ。シリアス、アクション問わず、役者にツッコミを入れたり「このあとアクションシーンだぜ!」と教えてくれる。活動弁士ばりに口の回る彼は銃を撃ち合うシーンで必ず「コマンド!!!コマンド!!!」と叫ぶのだが、だんだんと癖になってくる味わいがある。
次に、ウガンダ人の異常な身体能力の上に成り立つ戦闘シーンについて触れておく。カット編集を用いたそれらは画質は粗く特殊効果なども用いられていないが、ワイヤーアクションをワイヤーなしで撮影したようなものばかりであり、真に迫ったものがあった。「あ、これ多分本当に殴ってるな」としか思えないような映像や、あまりにも高すぎるジャンプ力を利用したハイキック。なかなか見応えがあった。
最後に、この映画のストーリーはなかなか悪くないということを強く主張する。いまだ発展途上のウガンダ、後半で流れた戦車が街中を走る映像はおそらく現実の出来事なのだろう。垣間見える貧困の様子や、演じる役者たちの楽しそうな雰囲気には映画の魂を感じた。監督はこの映画を撮るにあたって家財を売り捌き、スラム街のジャンクPCで編集を行ったそうだ。やはり、美は細部に宿るのだろう。
冒頭から叫ばれている『ワカリウッド』の、更なる発展に期待したい。
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