じゅん

ドント・ルック・アップのじゅんのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.1
コロナ療養でホテルに缶詰め、4日目の週末に鑑賞。ま、缶詰めだから週末もウィークデイもないんだけど。

真面目だけど不器用な主人公たちvs分かりやすく鼻につく利己的拝金主義の悪役陣。バカばっかりの政府や耳障りの良いことしか言わないマスコミ=絶対悪で、愚かな大衆は一切真に受けず、真実を不細工に訴える「私」=正義がボコボコに叩かれる。がんばれ!負けるな!いつか報われるよ!......みたいな浅い二極構図に、「うんコメディ要素は笑えるけどまあ...そういう映画ねハイハイ」と思って冷ややかに観てた。政治はそんなシンプル悪じゃないし、バカ大衆もここまでバカじゃないよね。これなら日本沈没の方がまだ深いわ、とか。

ところが話が進むにつれて、だんだん笑えなくなってくる。あれ、違うなと。

半年後っていう近い危機だからデフォルメされた登場人物たちが愚かに見える。でも現実に置き換えてみると?目先のことに日々大騒ぎし、一喜一憂し、人の評価ばかり気にして、正論かましてくる空気読めない人とは距離を置き(“オフ”し)、モノに振り回され、大量消費してるのは、大統領じゃなくて俺じゃないか。
主人公だと思っていた自分がバカ側の人間だった事を痛感させられ、殴られたような気持ちになる。

政府批判やらSNSの闇やら超巨大企業の恐怖やら環境問題やら、いろんなメッセージが散りばめられてるんだろうけど、そんな個々というより全部ひっくるめて、「おまえの人生で大事なものは本当にそれなの?」を、スタイリッシュに問いかけてくる作品でした。やられたー。