エマ

ドント・ルック・アップのエマのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.0
とても信じ難い物語ではあるけど、細部にリアリティがあって違和感がないからこそめっちゃ怖かった。



※ここからネタバレ含みます。

【AIが予想する人の死に方について】

この作品では、現代のAIに対する皮肉を描いているのも良かった。
例えば、主人公の博士はAIに「孤独死する。」と判断される。大統領は「〇〇(意味のわからない名前)に食い殺される」と判断される。実際、大統領は未来の世界で恐らく〇〇という名前であろう動物に食い殺される。AIの予想的中!
しかし、博士は孤独死しなかった。
この違いはどこにあるのか?

答えは「合理的かそうではないか」だと考えられる。
AIは究極的に合理が実装された存在であり、AIの合理性に勝る存在は恐らくないだろう。人間はある程度合理に基づいて行動するので、AIにも行動パターンが読めるという事だ。
しかし、博士は宇宙船に乗らなかった。これはかなり不合理な行動だと考えられる。
博士は「生命を維持することが目的である」とAIに仮定された人間という存在を、超越したのだ。
よって、AIの予想が外れた。
あそこで博士が宇宙船に乗っていたら、その後博士は孤独死していたのだろう。

この部分は、合理主義が進んだ現代に対しての危険信号を示している。

「合理性だけで物事を見ていると、痛い目にあうぞ」ということだろう。
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