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モンタナの目撃者のkakakaのレビュー・感想・評価

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)
3.7
映画オープニングの語り口が完璧。
映画のメイン舞台となるモンタナ州の森林パートでいかにも豪快な森林消防隊員達の姿を描き、並行して正反対の閑静な高級住宅街シーンに切り替わり、二人の男が訪れ、突如大爆発が起こる。
静と動の対比で、静の方に突然の圧倒的暴力をぶち込むことで、平静なシーンでもいついかなる無慈悲な暴力が振るわれるか常に緊張を強いられ、映画序盤はこのスリリングな緊張感を推進力に息もつかせず展開する様は見事、100点満点だ。
客観的に見れば圧倒的な悪である殺し屋チームも、自分達に大義がある、みたいな妙な冷静さと落ち着きがあり、このインテリヤクザ感も超クール。平静の中にオーバドーズな暴力を描く。これぞテイ・シェリ作品の真骨頂だろう。
ただ、この二人、見た目や仕事はクールなのだが、ことごとく気の毒な目に合う。
車にひかれ、火炎放射で大やけど。もうホームアローンの例の泥棒状態である。
しまいには、「はぁ、はぁ、気絶しそうだ」には思わず吹き出しちゃいます。
思わぬ人物にリベンジを食らうなど、この絶妙なはずしも独特のグルーブがあって楽しい。
が、本作には大きな減点部分もあり、例えば殺し屋チームも2班必要だと明言しているし、黒幕も、「“生きているはずがない”では困る。これは勝つか負けるかだ。」と大きな事を言うくせに、追跡に追加の人員を割かない意味が分からない。
それからラストの、大切なお父さんの密告メモをポケットに入れながら、川にどっぷり浸かる不用意さも解せない。もしインクが滲んで内容が把握出来なかったらどうする気だ?あの素敵な父親の思いを無碍にしないでよ。ジップロックにでも入れとけ。
こうしてアメリカの闇は守られた、というオチなら皮肉が利き過ぎてるなぁ。
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