酸基

とら男の酸基のレビュー・感想・評価

とら男(2021年製作の映画)
3.8
92年に金沢で起きた未解決殺人事件を当時の担当刑事本人が出演し、再捜査に乗り出すという奇妙な映画。フィクションとドキュメントが混じりあった構造をしており、それが次第に真相への境界を曖昧にしていく。(ここが賛否が分かれる点だとは思うが)。主人公の女子大生が被害者を演じる場面は多重化したメタフィクション的であり、この映画自体を端的に表現していると感じた。メタセコイアは寅男さんを「生きた化石」として象徴するが、ラスト近くの眼差しは「化石のまま終わらせられない人間」の凄みと狂気があった。
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