ウヤウヤさんの映画レビュー・感想・評価

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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

アンドリュー・ヘイ監督が原作小説と自分自身の過去と現在に至極誠実に向き合って作られたのが伝わってくる作品だった。白眉はラスト。ロマンティックの極地で、思い出すだけでクラクラするやつ。アンドリュー・スコ>>続きを読む

戦雲 いくさふむ(2024年製作の映画)

3.8

正義の反対はまた別の正義、なのか?恥ずかしながら沖縄本島以外の島々の状況は今作で初めて知りましたが、なぜここまで急ぐのか、なぜここまで民意を無視するのか、その傍若無人ぶりに理解が追いつかず。それでも、>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.9

非常に原作に忠実。しかしながら、大林監督が手掛けることで原作の異様さがより際立っているし、ラストカットのボイスオーバーが醸し出す余韻は原作以上かも。片岡鶴太郎と秋吉久美子の起用は大林印でもあり納得のキ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.3

ノラとヘソンの「有り得たかもしれない未来」に自分のそれを重ねてしまい、悶絶。「ビフォア」シリーズや『花束みたいな恋をした』に並ぶラブストーリーの金字塔が打ち立ったのでは。且つ、2024年ベスト横移動&>>続きを読む

貴公子(2023年製作の映画)

4.2

キム・ソンホ演じる“貴公子” のキャラクター設定がめちゃくちゃ絶妙で、その「プロ」としての挙動も相まって、終始魅了されっ放しでした。118分しっかり濃密ながらも、時折「えっ?今これ何の時間?」っていう>>続きを読む

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

4.1

最早自分の中では安心と信頼の永岡智佳監督。これでもかとキャラクターを投入しながらも、全員に見せ場を与えようとするその手捌きを今作でも堪能。ラブコメとしてもたまらんかったし(あのラスト!からのaiko!>>続きを読む

毒娘(2024年製作の映画)

3.9

開始からずっと感じる違和感と居心地の悪さ。それをズタズタに裁ち切って抉り出す<ちーちゃん>の存在に、劇場の萌花同様次第に魅了されてしまっている自分に気づいてゾッとする。内藤監督印の予期せず発生するアク>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

IMAXレーザーGTで鑑賞。想像以上の情報量で五感をフル活用しての鑑賞でしたが、編集の妙も相まって、その忙しなさすらも心地良く最後まで観ることができた。どうしたって日本人として恐怖や嫌悪感を覚えてしま>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.3

IMAXレーザーGTで鑑賞。前作から周到に創造されてきた世界観(と言うか最早「世界」)は主要キャストの役作りも含めて完成の域に達していて、映像と音だけでもう大満足。ストーリーは原作準拠で古典的ながらも>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.1

作品の題材にある程度共感しながらも、どうしても一定の距離感からは縮められず、その距離感を保ったまま観ていましたが、ラストはビックリするくらいの力業で盛大にハグされたかのような気持ち。個人的に予期せぬ父>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

「金子修介監督作品」という重厚な土台の上で、ロケーションと撮影、脚本とキャスティング、あらゆる要素が見事に相乗効果を生んでいて、評判通り良い意味で2024年の邦画とは思えないような怪作に仕上がっていた>>続きを読む

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.3

【追悼上映】 観たい観たいと思いながらも、このタイミングでの鑑賞になってしまった今作。今このタイミングで観るからこそ、どうしても余計に遣る瀬無い気持ちになってしまうけど、それ以上にラストの彼のメッセー>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.3

眠気対策を万全にして臨みましたが、全く必要無かった。冒頭から結末まで独特の緊張感に包まれ、ヒリヒリさせられながらも、クッキーとキング・ルーの二人(そして牛をはじめとする動物たち)が醸し出す「営み」のさ>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.1

“巨匠”ビクトル・エリセの“31年ぶり”の長編作品、すべての枕詞を壮大にフリに使いながら、待ち受けているのはあの超絶ラストシーン。あの幾重にも交わされる視線は思い出すだけで鳥肌だし、誰にも真似出来ない>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.2

相変わらずエンタメ性とメッセージ性の両立が巧み過ぎるぜ、韓国映画。終幕まで隙無く保ち続ける面白さと緊張感。映画館でしか味わえない視覚・聴覚への刺激。もう大満足。リュ・ジュンヨルの妙々たる演技に完全に心>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.2

体調を出来るだけ万全にして、おそるおそる臨戦したけど、アリ・アスター監督が今やりたいことを全部載せしながらも、想像以上にポップな作品に仕上がっていて。どこに連れて行かれるか解らない不安は終始付き纏うの>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.9

原作屈指の名勝負を映画化。若干回想が多過ぎるきらいがあったけど、漫画を読んでいるときの視線の誘導や脳内に鳴り響く音がアニメーションで誠実に表現されていたし、クライマックスのあの演出は映画でしか出来ない>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

こんなロマンチックでチャーミングな(それでいて現実に対する怒りもしっかりと込めた)ラブストーリーで復帰してくるカウリスマキ監督、もうほんと大好き。たとえ一瞬の煌めきだとしても、たとえそれが最後だとして>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

22年ぶりの全国ロードショーのこのタイミングで満を持して初鑑賞。もっと痛快で下品なバディムービー的作品だと思っていたら、結構早い段階からイーニドは突き放されているし、まぁまぁビターな展開は続くし、ちょ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

原作を読んだ上で臨むと、その脚色の見事さにエンドロールの最後まで惚れ惚れしっ放し。加えて、撮影や音響でスタッフの手腕が遺憾無く発揮されていて、特に終盤はタイトルと呼応するような、映画館の暗闇ならではの>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

高純度で過去最高に高潤沢なヨルゴス・ランティモス映画でありながらも、これまで以上に解りやすくもあり、それでいて明確に「あっ、もうついて行けない」っていうシーンもあって、こういう作品を映画館でリアルタイ>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

個人的トーキング・ヘッズに対する解像度が前回の鑑賞時以来俄然高まったことも相まって、終始最高潮。夢のような時間でした。4KレストアとIMAX上映の相乗効果も抜群で、撮影やバンド演奏のキレ味ももれなく堪>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

4.2

上映後に塚本晋也監督舞台挨拶。『野火』と『斬、』を経た塚本監督が描く「戦後」映画としてめちゃくちゃ腑に落ちた。戦争が終わっても、それぞれが抱える戦争は終わるわけではない、ということを多くの視点を通して>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.2

彼女の生き方がこちらの想像以上に壮絶且つ切実で、そして余りにも崇高過ぎて、感情移入が難しかったのだけど、ラストのモノローグで自然と涙が。「人を好きになること」ってこういうことなんだなと(加えて己の想像>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.3

個人的に「何気に激ムズ案件」だと思っていた和山やま作品の実写化、この座組みならではの持ち味で見事に達成されていて胸のすく思い。映画用として丁寧に改良された野木亜紀子の脚本、主役の二人やヤクザだけじゃな>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.2

共感性羞恥スレスレのこの題材を、全くそれを感じさせることなく映画化できていることが監督・スタッフの手腕の証明。そして何より岡山天音が圧巻で、「人間関係不得意」の体現過ぎた。それに呼応する仲野太賀と菅田>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.1

想像以上に震災描写が容赦無く、現状を鑑みると言葉を選ぶべき作品なのだけど、それでも抜群に面白いんだからしょうがない。物語の核心はパク・ソジュンとパク・ボヨン演じる夫婦に託しつつ、その面白さにこれでもか>>続きを読む

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.0

改めて観ると「こんなに普通の話だったっけ?」と錯覚してしまう一種のタランティーノ病。ただ、監督の若き才能に全ベットしたかのような俳優陣によるキレキレの演技合戦は何度観ても良いものだし、あの音楽の使い方>>続きを読む

007 スカイフォール(2012年製作の映画)

4.4

2012年に観たときはサム・メンデスの演出やロジャー・ディーキンスの撮影を堪能し切ろうと力む余り、十分にこの作品を楽しめられてなかったんだな、と気付いた。要所要所でしっかりとケレン味もあって、こんなに>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.5

公開前に何度も流れる予告編を観て「なぜ今…?」と冷笑気味に思っていた自分をトットちゃんに投げ飛ばしてもらいたい。完全に今作られるべき、そして今観られるべき作品だった。原作の名エピソードの数々をアニメー>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.8

「YouTube出身監督の長編映画デビュー作品」と聞いて想像していたよりはずっと真摯にホラー映画に向き合っていたし、溢れ出るオーストリア愛にも好感。ただ、基本ナメた若者達の自業自得案件なので、終始どう>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.1

やっと観られた。王道のバディものでありながら、我々日本人が産んだ様々な「負」が入り組みまくった物語構造で、何回も観たくなるのも解る。「水木しげる生誕100周年記念作品」と銘打たれたのも頷ける、徹頭徹尾>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

「役所広司が主演」という前情報のみで臨みましたが、それが功を奏した感じ。「役所広司のPV?」と勘繰ってしまうような気の衒いの無さも寧ろ終始心地良く。日常にルーティンや「行きつけ」の場所があることの強み>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.5

構図や音響は相変わらずの拘りっぷりでバッキバキにキマっているのだけど、それでいて良い具合に肩の力が抜けていて、フィンチャー監督の「解脱」を感じた。この役をこんなに絶妙に演じられる俳優はマイケル・ファス>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.0

リドリー・スコット監督の(しかもホアキン・フェニックス主演の)時点で、ナポレオンを「英雄」として描く気はさらさら無いのは何となく解っていたけど、ここまで突き放すか。最期まで彼が拠り所にしていたものでさ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

北野武監督が本能寺の変周辺を描いたら、こういう比重になるのはかなり納得だし、「健在」を感じた。「オチ」としか言いようがない終幕は完全にタイトルと呼応していて、爽快且つ苦味。キャストも全員がやる気満々で>>続きを読む

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