愛することと殺すこととがほぼほぼイコールである病に侵された二人の男女。はじめはその二人のエピソードが平行に語られてなかなか掴み所がないが、その二人がついに合流してからの悲劇性よ。
愛を求めて彷徨う人物>>続きを読む
そしてやはり風だ。雪降る季節を捉えた本作は粉雪が、左義長の炎が、祭の飾りの短冊が、風を可視化する。そして季節は冬から春へ、そして桜が舞って……となって風映画として完成した感があった。
2026-02>>続きを読む
映画を観ていて引っかかるのが、主人公である精子たちを応援しにくいという構造的な問題である。
彼らの目的は卵子に至り受精することだ。その帰結としてパートナーは妊娠するわけだが、まだ高校生のリサはちゃんと>>続きを読む
他にお気に入りのディテールは車――というか、自動車事故だ。
運転はもちろんオートパイロット。自動車が事故ると瞬時に霧のように噴射され、固まることで乗員を衝撃から保護する緩衝材ができる。緩衝材の中では身>>続きを読む
個人的に好きなシーンにイノシシ狩りがある。
私は大学生の頃、夜中に友人の車に乗せられてなぜか山道に入ったところで大きなイノシシと遭遇した経験をしたことがある。しょうもないと思われるかもしれないが、これ>>続きを読む
もちろんエドガー・ライトらしいユーモアとアクションや、グレン・パウエルの隠しきれない色気だけで映画はもつので楽しいは楽しいのだが、プラスアルファがこの世界観、と考えるとやや弱いと感じたというのが正直な>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
裁判の進行と並行して敬との同棲が描かれるが、そこで彼女もまた敬にある期待を寄せていたということに気付かされる。
期待があるからこそ、裏切りは成立する。敬は裁判もあってなんとか生活を維持するための行動を>>続きを読む
闇バイトとクマという一見無関係な事象を、物語的に交差させる手つきも巧みである。
例えば登場するクマはその足のサイズから19と呼ばれる。闇バイトに勤しむ若者たちと同様にクマもまた番号で呼ばれることで、現>>続きを読む
ジャンルがジャンルなので予算感の小ささは感じるものの、一ノ瀬竜さん演じる殺人者の九条のキャラクターや、肉や骨、内臓、人皮などの「見せたいもの」には手間暇かけて作られており気概を感じる。
だけど観ていく>>続きを読む
とにかく主人公のハンク(オースティン・バトラー)をどん底まで追い詰める。たとえその後に逆転が待っていようとも、「爽快」「痛快」とは決して口にできないくらいにボコボコにされるのだ。
そして過去のトラウマ>>続きを読む
スナッフフィルムの深みにはまる主人公を描いた映画で、ダークウェブの描写はフィクションで見た中ではかなり真に迫っているように感じた。
観ている最中に思ったことは『search/サーチ』っぽいなということだ。この作品は全編がパソコンの画面上で展開されることが特徴のスリラーで、主人公は失踪した娘をさまざま情報を検索(サーチ)しながら突き>>続きを読む
本作の姿勢は、冒頭の挿入される説明字幕に集約されている。
実際の出来事を扱った映画でしばしば宣言される「事実に基づく」という言葉を、本作は用いない。代わりに掲げられるのは、イラク戦争で実際に発生した戦>>続きを読む
映画において「一から十まで上手くいく」というストーリーテリングは極めて稀だ。主人公たちの前に何らかの障害が立ちふさがり、それをどう克服するかという葛藤がドラマの基本だからだ。
さらに、犯罪映画において>>続きを読む
逃げて逃げて逃げて、辿り着いた場所。ここから先の逃げ場所はもう死しかない。
しかし、「死に戻り」するということはつまり「死ねない」ということだ。これ以上、逃げることが物理的にできない状況に立たされる。>>続きを読む
暴力の恐怖による支配。いつだって普遍的な悪の姿はこの形をとる。
それと闘うことは正しいことだ。私はそう信じる。しかし、この闘いには血が流れる。当然だ、向こうが前提として「暴力」をちらつかせているのだか>>続きを読む
その楽しさは万博のようなものかもしれない。
ふつう肉眼で見ることが叶わないような珍しいもの(存在しないのだが)が、まるで肉眼で目にしているかのようなウルトラ高品質の映像で体験する。数年おきのシリーズ展>>続きを読む
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という、アドラー心理学系の自己啓発本で幾度と擦られた有名な言葉があるが、本作を観ている間ずっとこの言葉が脳裏に浮かんでいた。
ずばり、「過去を変え>>続きを読む
シリーズでメインに描かれる抗争は前作で終わり、時間が経過した後の最終作で一作目と同じく組織の内部抗争を主軸に描くことで「時代は繰り返す」を表現する綺麗なシリーズ完結作だった。
前作から続く緊張感がずっと持続するものの、最後までその緊張の糸が切れる決定的瞬間は訪れず、観客のカタルシスは保留され、時間の流れだけが強調される。いくらでも面白おかしくできそうな因縁も直接対決には至ら>>続きを読む
次作へのブリッジとして新たな人物・新たな組織を数多く登場させながら混迷を深めていく。大小問わず各地で巻き起こる覇権の奪い合いはまさに政治劇的で、山守親分の役割もコメディに貢献。
シリーズ中では外伝味が強く、メロドラマな味付けなどノリも少し異なる。本作主人公の山中が担う鉄砲玉の悲哀がクライマックスに置かれるが、その葛藤の過程がひたすら長く、苦みが口に残る。
内輪の抗争という構図が人間関係というか、人と人との関わり合いのグロテスクさを強調する。ショボそうに見えることすらもひとつの人心掌握術として計算し尽くしているようにも見える山守親分がシリーズ通して一番好>>続きを読む
このエピック版の見どころの一つはインターミッション(休憩)だろう。
伝説誕生から王の凱旋へ。当時インド本国ではその間に2年の期間が空いてしまったことを自虐ネタに昇華させ、クスリとすること間違い無しの字>>続きを読む
画の力でねじ伏せられる感覚。カルト映画的人気ということだけ知っていた映画なのでもっと難解よりな、わかりにくい映画なのかなあと想像していたが実際に観てみるとそんなことはなく、メタ構造はあるもののストレー>>続きを読む
キリアンが最初に怒りを爆発させて暴力を振るうきっかけとなったのも、ベトナム戦争で戦った祖父に無礼を働く塗装屋の言動だった。
その祖父はキリアンに言う。「自分の人生がうまくいかないことを社会のせいにしな>>続きを読む
そんな家族愛が描かれる本作であるが、彼らが「人類最後の家族」である以上、そこで賛美されるものは決して家族愛だけではないというのが本作のミソだ。
地下シェルターには絵画やジオラマが飾られ、プール施設もあ>>続きを読む
誰かが誰かに恋をする。それは確かに素晴らしいことなのかもしれないが、その様子を「胸キュン」といってお手軽に消費する姿は、男女問わずなんとも滑稽だ。
劇中ではリリが杏子の部屋のテレビ画面から杏子が様々な>>続きを読む
タクシーによる空間的な移動と、すみれ(倍賞千恵子)の昔語りによる時間的な移動が重なり合うことで、とても映画的な構造を持つ作品になっている印象だ。
現代の東京をタクシーで巡りながら、その場その場で彼女の>>続きを読む
児童の集団失踪という痛ましい事件が起こり、そのクラスの先生や父親、警察官などの視点を通して事件の真相へと近づいていくというのが基本プロットだ。
この群像劇ミステリーの構造が巧い。ひとりの視点である真相>>続きを読む
人工授精技術が高度に発展し、子どもを生むこと、つまり生殖に性行為が不要になった世界。すると日本社会はどうなるかということを描く。
性行為を行う理由が性欲解消の意味しかないとなると夫婦間での性交渉は不>>続きを読む
私たちは世界のすべてを明晰に理解することはできない。情報工学が発達した現代でも世界の問題を把握しきれやしないのだから、なおさら少ない情報から物語を紡ぐしかなかった太平洋戦争時はもっと歪んだ物語が流布さ>>続きを読む
悶絶である。まるで少し未来の自分を観るかのような映画体験で、映画の側から「お前のことだ!」と指をさされるあの感覚を久々に味わった。
2025-12-01 🎞️『マルティネス』を観る - SpiSig>>続きを読む
中盤、クルド人に興味を持った夏海は本屋に訪れる。本を探す夏海を横から映したショットだが、その手前には本棚に浅めにささった一冊の本が目立っていた。橋本琴絵の『日本は核武装せよ! 被爆三世だから言う』であ>>続きを読む
好きな映画もある、好きじゃない映画もある。
ウェス・アンダーソン監督作はその独特な画作りへのこだわりの強さから、見た目的にはどの映画も同じように感じてしまう。
それなのに私の中ではっきり好き(『フレ>>続きを読む
韓国から日本という異なる言語の国に訪れ、脚本家という言葉を用いる仕事をする彼女は、旅によって見聞を広げながら、それでも言葉に追いつかれてしまう感覚があるという。
世界の広さとは、まだ未知の部分がどれだ>>続きを読む